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この物語はフィクションです。実在の人物とは関係ありません。だったらどんなに良かったか。

あたしの名前はゴルハイ。

しがない歴史オタだ。

主人公をやらせてもらうからよろしく。

あ、どうしてもって頼まれたからだからなんで、目立ちたがり屋だって勘違いとかはしないで欲しいな。

推しは攘夷志士系が主で特に松陰先生が好き。

ああ、けど佐幕派でも土方歳三とかは好きだな。例えば歳三の辞世の句って松陰先生の作った句に似ててね……。


え?

早く本題に入れって?

これからがいいとこなのにな〜

仕方ないか。


私は普通に生きてきた。特に貴族社会にいたわけでもない。ただの歴史オタクだ。

そんな私が、まさかこの令和の世に"没落貴族"と出会うことになるとは夢にも思わなかった。


とある歴史英雄系原作エロゲームのオフ会。

自分を没落貴族だと思い込んでる一般人。

地雷ちゃんに会ったのもそこだった。


ああ、この子にもハンネあった方がいいね。

そうだなぁ。名前そのまま使うと迷惑かもだから。

同じ柑橘系だと……よしこれでいこう。

しとらすちゃんに会ったのはそこの会場だった。

目に痛いピンクと黒の毒々しい配色。

彼女と会った時の第一印象はお姫様みたい。だったっけ。

案外、人って見た目で中身が分かるよね。

変な人ってやっぱり変な見た目してるから……。


……。なにその目?

アタシは普通だよ?

普通の紺のトレンチコートだし髪型もおかしくないし……。え?地味?まあそう言われたらそうかも。

騙されやすそう??

……ほっとけ。


そんな地味なアタシは人に話しかける勇気も無く……じゃなくて壁に背をつけて様子を伺ってたのね。

オフ会は戦だ。

戦ってのは情報戦だから突撃じゃなくてまず周りの情報を集めないと。

だから話しかけられない訳じゃない。ホントだから。ちょっと情報戦してただけだから。

私はミリオタでもあるし。うん。


一人だけなのに、ひそひそ噂されて遠巻きにされてて、誰にも話しかけてもらえてなかった彼女に勇気出して話しかけてみたんだ。

この時「やだ。誰か止めなよ」

って聞こえたんだけど私は無視した。


ちょうど友達いなかったし。

……いつもとか言わない!

いつもは歴史上の偉人が友達だから。

今日はオフ会だから連れてこれないの。

みんな恥ずかしがり屋だから本の中とか画面の中とか……。

いやそれはともかく。


「始めまして。あたしはゴルハイ。推しは松陰先生です」


決まった。

心の中でガッツポーズしてると彼女はこう言った。


「私なんかに話しかけてくれて……。嬉しい。わたしはしと☆らすって言うんだ。よろしくね」


そのまま彼女としばらく話すと、同じく松陰先生推しであることが分かった。

まあそれはいいとして、しばらく話しているとなんか様子が変わって来た。


「私って実は華族なんだ。分かるかな?」


「わかるわかる。確か日本にも昔貴族が居たんだよね。そのことだよね?」


「そうそう! ひいお祖父さまがその華族だったの! だから私お姫様なんだ~」


「へー」


「それでね。ひい祖父さまは松陰先生に似ててね」


「そうなんだ〜」


「お祖母さんもね。私に今の職場を紹介してくれたの! すごい人なの!」


「へーよかったね」


最初は普通の家族自慢だと思った。だが、彼女の話を聞くうちに、私はある重大なことに気づく。


「実はお祖母さまの子供が戦争で全員死んじゃったから、そっからは養子なんだ」


「へー」


……ん? ってことは。

この子、華族でもなんでもないただの庶民じゃね??

華族って基本的には血統で次いでくもんだし。


(例外もあるだろってツッコミは無しで、その辺も調べたから。彼女の場合は当てはまらない状況だったし)


そう思ったけど私は黙ってた。

多分歴史に詳しくないんだろうと思って。

ここでいつものように空気読まずに指摘して、そのまま距離を置かれていればよかったのかもしれない。


そうすればこの先の地獄を見ずに済んだってことだから。





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