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いざ松の手形試験へ

本小説をお読みいただきありがとうございます。

皆様の退屈しのぎなれば幸いです。

★この作品はフィクションです。実在の人物・団体・事件・妖怪への解釈などにはいっさい関係ありません


屋敷に入っていき辺りをキョロキョロ見渡し、受付兼門番である外掛けと面を着けたひだる神がいて鈴丸の松の仮手形をを見れば


「受験者だね、君は左の階段で下に降りて」

と指をそちらに移動させて示し、鈴丸は丁寧に礼を言えば彼は思い出したように声を上げた。

「すみません、背中の紙袋に先程街で暴れていた白容裔が入ってるんですか...」


白容裔(しろうねり)?」

ひだる神は首を傾げながら鈴丸の背中を目を向けるとその紙袋の模様を見て

「ハイハイ。屋号組合(やごうくみあい)ね」

納得をし手早く外していけば、中身を少し確認して

封を閉じると

「確かに確かに、ありがとうね」

そう語ると床からもう一体ひだる神が生えてくれば、そのもう一体に受付を任せ早速移動していき


鈴丸は2体に頭を下げ入口左手すぐにある階段を下っていきそれを見たひだる神はため息をつけば

「お腹すいたな」


退屈そうに入口を眺めた。

ひだる神の言う通りに階段を降りれば、開ききった戸を潜り試験会場に着いた。既にかなりの数の妖怪たちが集まっていてそれぞれに準備運動などをしている。



「かなりの数がいるんだな」

ざっと数えて80位はいようか、我こそはというものもいれば荒事ばかりが好きなように見えるものもいた


「おい見ろよ、すねこすりだぜ」

先程街に来たばかりでも感じた嘲笑とも好奇とも言える目を感じ


「だからどうした?」

遠方から聞こえる声に会場全ての注目を一身に受けることなった存在が姿を現した。


金色の毛並みを引き下げた虎のような体格の妖怪が現れ体は僅かに電気を帯びている、その威厳に満ちた姿に思わず後退りする。


「あれ派閥の大幹部、八看板(はちかんばん)の一体。雷獣の鳴雲(なるぐも)さんだ」


「嘘だろ本物かよ」


ザワつく中、鳴雲(なるぐも)ははっきりと語った


「重要なのは実力だ、他は頭が判断することだ」

妖怪たちは途端に押し黙り静かになる。それを一通りみた後に仕切り直すように語り始める


「それを見極めるためにいまから幾つかの部門を測定させて貰う、各々右端の測定器から順番に回ってくれ」




そこで測定されたのは[妖力]、[筋力]、[走力]、[泳力]、[学力]そして


「最後は判断力だな。今からお前たちにこの妖力削減装置を使い先程のそれぞれの測定数値を使いお前らより1.5倍強力な実態をともなる幻影個体との一騎討ちに勝利してもらう。


これに勝てば試験は終了合否の後晴れて松の手形が貰え、練成過程に進んでもらう。」


既にある程度計測で体力が消耗しているのに加えて、更にパッチ型の妖力削減装置を見れば愕然とする受験者一同は

一周回り試験者である鳴雲に諦めに似た怒りを抱えていた。


「ふざけんな最後の試験まで今日のうちにやるのかよ!!!普通別日だろ!!!」

それに引きずられる形で何体かの妖怪たちはオウムの様に呼応し騒ぎ立てて不満を口にしていた


「別に帰ってくれて構わないぜ?この程度で根をあげるような奴は練成過程に進めない」


鳴雲(なるぐも)は、一言で金切り声たちを封殺した。

「クソッ!!」

売り言葉に買い言葉的な空気となり、引っ込みがつかなくなった面々は一体また一体と試験会場を後にしていく


「他も何時でも辞退してかまわないからな」

残った妖怪たちを一瞥したあと試験を始め

「頭がボーッとするのに、やるしかねーか」

鬼である受験者が鐘がなれば、走り出し奇襲を試みるが幻影個体は人魚で鳴き声を発して音響妨害をし足元がぐらついた後に尾びれで高波を起こし



「くっそ」

あっという間に足を救われ流されてしまい、再び鐘が鳴り

「終了」

それ以降も数々の妖怪が次々と幻影個体に敗北していき


「次、鈴丸」

「はい。」


緊張状態のなか出された幻影個体は、彼の体よりもはるかに大きな坂蟷螂(さかかまきり)


「!!」

思わず感じる恐怖に心を整えるまもなく鐘がなり試験が始まった

坂蟷螂(さかかまきり)口から吹雪を起こし床から氷柱を出し鈴丸を遠隔攻撃し、それをかすりながらも何とか避けながら回り込み


『吹雪や氷動きを誘導されている!このまま突っ込めば確実に鎌で捉えられる! 何とか出し抜かないと!!!?』



と考えていれば、氷柱が繰り出され妖力の牙で応戦をし噛み砕くもするも体に傷を負い後退する。あたりの気温も下がり、疲労に凍傷や体温も奪われはじめ、体は震え、足元がふらつき厳しい状況で


「冷静になれ...」

『こんな事は山ほどあったんだ』


_______

家猫とし生涯を終え、庭に埋葬された鈴丸は長い年月を経て目覚め土から這い出た。


「やっぱり仲間だ。」


「見守ってて良かったね」

犬とも猫ともつかない獣たちが這い出た鈴丸に笑いかけた。怪訝な顔で鈴丸はそのもの立ちを見ると一体のすねこすりが姿を表し

「お前は妖怪に成ったんだ。ようこそすねこすりの同族よ」


そう語り出迎えた。それからは備前に移動し昼は人が少ない山の中で、夕方から夜間では人達に紛れて過ごしいくつもの時代が流れた。一部人間から生気を吸い。力を溜めるのもすねこすりの特性であったが人間の滅亡により


彼らは更に分を悪くすることとなる、あまり強いとはいえない妖怪のため、他の強い妖怪から相次いでその身を狙われる様になっていた。


「大丈夫?母さん?」

母親代わりのすねこすりが山から木の実を取ってこようとするだけで、怪我をして帰ることが重なり鈴丸は心配そうに出迎えるが

「大丈夫、大丈夫よ」


と語るばかりであった、せめて自分たちが代わりにと狩りに向かった先で


「ぎゃああああ!!!」


仲間のすねこすりが1つ目小僧に狙われ食べられそうになった際に


「やめろー!!!!!」

鈴丸は全身全霊での体当たりで、それを防ごうとしたが

「邪魔だな」

あっさり1つ目小僧に返り討ちにされてしまう。そして息も絶え絶えの鈴丸を見下ろしながら、彼は容赦なく嘲りながらこう語った。


「お前らすねこすりはな、平和ボケしてんだよ。発生する由来が、生前幸せな思いをして次は人間と永く寄り添いたいからとか生温い理由だからな」


仲間のすねこすりをあっさり食べながら、なおも続けた。

「向上心もなければ、憎しみ、祟りもない。そんなんだから弱いんだ。お前らも人間のように滅びるか?」


せせら笑う1つ目小僧にボロボロの鈴丸は、抵抗も出来ずに投げ飛ばされ意識を失う。1つ目小僧が姿を消し、しばらく経ち少し回復した鈴丸が起き上がると


「確かに、甘やかされて過ごした俺らはなめられて当然なのかもしれない....だがそれで何が悪い!俺に良くしてくれた同族をこれ以上食い物にするなら俺が強くなってやる!!」


目覚めた時に遠方から来て数日見守っていてくれた様子や、妖怪としての生きる知恵、優しく穏やかな同族たちの暮らしを思い出し

涙を浮かべながら苦虫を噛み潰したような面構えとなってからは、鈴丸はすねこすりの能力と頭脳を最大限に活用し鍛えることにした。



徐々に力もつき周辺のすねこすりを食い物にする敵を追い返す様になれば、かつての1つ目小僧に行き当たり

「仲間を返してもらうぞ」

仇を取った。


「俺頑張って出世して、皆が安心して過ごせるようにするよ」


「大丈夫なのかい?」

母親代わりをしていたこすりねこが心配する。


「俺は反対しないぜ」

「僕も!!戦い方は兄ちゃんに教わったし、こっちは心配しないで行ってきなよ」

何体か鈴丸の手解きを受けた、すねこすりが出て来て応援し母親代わりのすねこすりの不安を払拭した。


「そりゃそうかもだけど」


「私も良いと思っているよ、自分の力を試して来なさい、私たちはここにいるからね」

最初ね目覚めた時に出迎えてくれ、今や父親代わりのすねこすりがそう語り。鈴丸は嬉しそうに頷いた


____________


「多少フラフラになろうが、デカかろうが......大した問題じゃない!!!」


妖力で再びトラバサミのような牙を出し、次々と容赦なく氷柱や雪を破壊していく

一方で敵の坂蟷螂(さかかまきり)は、散らばる破片と音に苛まれながらも、鈴丸の血痕と匂いで動きを探りの彼に向かい氷柱と吹雪の包囲攻撃技を繰り出しその後で鎌で追撃し捉え。

「おいおい....」

「あれ、流石にやりすぎじゃねーのか」

鈴丸の後に控える妖怪が口をひらけば、そう語り戦き。一方の鳴雲(なるぐも)は、冷静に2体の戦いの行く末を観察していた。


冷気が止み全体像が現となれば、そこに鈴丸の姿は無く血が滲んだ雪と氷柱が挟まっていて

「どこに行ったんだ?」


訝しめば、よく見ると坂蟷螂(さかかまきり)が痙攣を起こしていて、その背中に鈴丸が乗っていると分かり。鳴雲(なるぐも)は静かに

『この擦り切れた状況下で___....』


「氷柱と騒音で撹乱した隙に蟷螂の僅かな死角にまわったんだろ。血液の匂いを囮にして

敵の優れた視覚、聴覚、嗅覚を逆手にとった作戦組めるなら及第点だ。」


その言葉に監督者の妖怪が慌てて鐘を鳴らした。

「すねこすりの鈴丸、判断力試験 合格。」

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