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【中置】「堯湖」撲滅推進会結成

入れ忘れてました。

(というか要らないかもですが…)

【中置】「堯湖」撲滅推進会結成


「夜遅くにごめんね、でも皆にお話があるの。」

「ゆめ」が「露歩(つゆある)き」、「丸嬰(まるえい)」、「閼伽注(あかつぐ)」に向かって神妙な面持ちで語り出した。

「あ~、うん何となくわかるけどね。あれの事でしょ?あれの…。」

「丸嬰」が片膝を立てその上に手と顎を乗せた体勢でだらしなく応じる。

「「あれ」…?」

「露歩き」が怪訝な顔をして「丸嬰」に目を向ける。

「このメンツ見ればわかるだろ?「堯湖(たかこ)」の素行の事だよ…「露歩き」。」

「素行って……。」

「もう!だから嫌がる「さき」にちょっかい出して「さき」が困ってるって事っ!」

「ゆめ」が大きな声で叫んだ。

「「ゆめ」…声が…。」

「あぁ、それは大丈夫よ「露歩き」。ね!「閼伽注」。」

「はいしっかりぐっすりもりましたからあさまで絶対起きてきませんっ。」

「盛るって……。」

「露歩き」がやや呆れ顔をしてつぶやいた。

他の三人は舌舐めづりするようににたにたと笑っている。怖い…。

「露歩き」は出来るだけ「堯湖」を援護する方向でこの会合に参加しようと密かに心の内で誓った。


「私は周りがどうこうする問題ではないと思うが…。」

「露歩き」が早速会合自体を収束させようと援護発言を開始する。

「その辺は大丈夫よ!「さき」から言われたんだもん。(注;実際「さき」は頼んでません。不平を言っていただけす。)

 困ってる方に言われてるんだから問題ないでしょ?」

「……そうか…。」

「露歩き」は出来るだけ情状酌量の余地を見つけて「堯湖」に下されるであろう実刑判決(?)を軽減させる方向でこの会合に参加しようと密かに心の内で誓った。



「そもそも何が契機だったのかねぇ…。

 それについて何か「ゆめ」は知ってんの?」

「丸嬰」が昼間どこかで調達してきた干し肉をかじりながら「ゆめ」に尋ねる。

「ううん、そこまでは知らないの…。「さき」は何か知ってるっぽかったけど教えてくれなかったし…。」

「ゆめ」が「丸嬰」から干し肉を受け取りながらしょんぼりと呟く。


「……「露歩き」は知らないの?あいつあんたにもメロメロだからその辺の事情とか勝手にぺらぺら喋ってんじゃないの?」

「丸嬰」が「露歩き」に向かって干し肉で指さしながら尋ねる。

「いや…聞いていない。」

「露歩き」は出来るだけ平静を装いながら「丸嬰」の問いに答えた。


――――――本当は……契機も好いている所もこれが初恋だという事も全て聞かされているのだが…。


「露歩き」はこの会合に呼ばれた事を次第に後悔し始めた。




「そもそも「さき」っていうのが凄いよね?

 だってあの子すごい無愛想じゃない。まぁ確かに美人だけどさ…。」

「ちがうちがうゆめさん。そこがいんですかなめなんですきっと…。だってあれは完全マゾなんですから…。

 きいてるでしょ?あのはなし。生まれるために死のうとするなんて完全にそっちの人のする事です。あたしなら絶対しません…というか物心つく前にそんな事まずしません!」

「あっ!そっかぁ!確かにそうだね。」

「……「まぞ」?」

「あらやだ「露歩き」ィ…。知らないの?

 「マゾ」、すなわち「マゾヒスト」。被虐的嗜好者の事だよ!」

「被虐的嗜好者…。」

「だからね、人から傷つけられるのが気持ちいい人の事を言うんだよ!露歩き。」


――――「ゆめ」…そんな笑顔満面で…。そしてどこでそんな俗な言い回しを…。


「露歩き」は何だか悲しくなってきた。思わず肩を落とし溜息をつく。


「おいおい「露歩き」。育ての娘に諭されたからって落ち込む事はないよ。

 誰でも知らない事はあるんだからさ…。」

「丸嬰」が「露歩き」の肩をぽんと叩く。


――――いや、そういう類のものではなく……。


「露歩き」は肩に手を置く「丸嬰」の顔を見る。その顔はさも優しく慰めるような顔をしていたがその眼は明らかに楽しんでいるものだった。その背後に控える「閼伽注」も以下同様…。


―――――わかってて言っているのか…。


「露歩き」はまた肩を落として溜息をついた。



「んじゃ、今後の方針なんだけどさ…どうしよっか?」

「もちろん二人であそぶにきまってます!もちもちろんですけどさきゆきさんに怒られない程度にね。」

「うん!私もそれに賛成!」

「………何をするつもりだ?」

「だからぁアイツが「さき」の事好きなの知ってるけど知らないようなふり…まぁするまでもなくアイツ鈍いからわからんだろうけどさぁ…そんな振りしながら「さき」の前で恥かかせてみたりするって訳。」

「うんそれ!はじ、いいですねぇ。あたし嫌いなんですよねたかこさんの事。えりいとっていうの?なんか鼻につくいいまわしするんですから。」

「あぁまだまだ青い餓鬼のくせしてね。」

餓鬼そのものの姿の「丸嬰」がうんうんと頷く。

「いや…そうとばかりは言えないだろう。実際「堯湖」は博識だし手合わせで私が負けた事も一度ではない。」

「露歩き」はするりと援護発言を挟む。

「あぁまぁねェ…。頭と腕はあるんだよねぇ…一応。」

「べつのあたまは皆無ですけどね!」

「閼伽注」がどろりと毒を吐く。


「私は―――」

「おおっとォ…止めるんじゃないよ「露歩き」。

 そんな事したらあんたの恥ずかしい過去をあいつにぶちまけてやるからね…。」

「ッ・・・・。」

「はずかしい過去?あぁあれですか?まるえいさんの体のすみずみまで洗いこんでその後とこを共にしちゃったあれですか?」

「………「閼伽注」。誤解を招くような言い方をするな…。」

「ごかいだなんて嘘ですよ。あたし何もへんにいっていませんから。

それを相手がどううけるかは相手しだい。」

「そうそう。

 特に頭の無い「堯湖」じゃ絶対何か考えるだろうけどねぇ…。

そしてそんなあいつの悶々とした姿に異変を嗅ぎつけた、あのお喋りな「お姉さま」が問い詰める事はまず間違いなし!」


「ッ…!」


「いやぁ~~ん、「露歩き」様ってば実は幼女趣味ィ?

 どうもおかしいと思ってたのよねぇ~。良い美丈夫が浮いた噂一つもなしに縁もゆかりもない女の子をせっせと育ててるなんてぇ~。やっぱりあの子達ってぬし様からのご・ほ・お・び?

きいゃあ大変!皆に広めなくっちゃぁ!・・・とかね。」


「ッ・・・」


あまりにそっくりな「丸嬰」の、「堯湖」の義母姉「莠嶌ゆしま」の声真似に「露歩き」は完全に絶句した。…そう…まさに彼女ならこう言うだろう…。


「じゃあ皆、これから一つ協力よろしく。」

「はい。」

「うん!」

「………」


こうして「堯湖」撲滅推進会は結成された。

ちなみに「さき」は何処にいるかというと……そこにいた。

もう完全無視の態ですね。


                           【中置 終わり】

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