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七日目 ティータイム

※R指定の表現はありませんが、多少インモラルな話題を含みます。

話を読んでいて嫌悪感を覚えた方はブラウザバックをおすすめします。

 試合を終え、通路に戻った所でクルドが迎えに来ていた。


「随分派手にやられたな」


「あぁ、守りを何回か抜かれた。再生が間に合ったから、九死に一生を得たがな」


 クルドからタオルを受け取り、髪や体を拭きながら淡々と答え、拭き終わった所で指を鳴らすと、ずたずたにされた服からいつものスーツ姿に戻っていた。


「…便利なものだな」


「便利と楽は別物だがな」


「面倒なのか?」


 濡れた髪も魔法で一瞬で乾かし、二人は歩き出しながら会話を続ける。


「直したわけじゃなく、私の体型に合わせて転移させたんだ。

 結構精密な操作を求められるから、何回もやりたいものではないな」


「じゃあなんで今回はやったんだ?」


 クルドの尤もなツッコミに対して、彼は面倒そうに答える。


「ここの通路は他の連中も使うかもしれんからな。あまり半裸の状態でいたくなかった」


「…、まぁ、それはそうだな」


 妙に納得してしまい、クルドも黙り込んで、数分の沈黙が流れるが、思い出したように切り出した。


「お前が初戦だったし、次までしばらく暇だろうから、食堂で待機するか?」


「そうするか」



 クルドに案内され、彼らは食堂にたどり着いたが、まだ誰もおらず、明かりすら点いていない状態だった。


「相変わらずここのコックはやる気がねぇな…」


「仕方ないだろう、何せ利用するやつが少すぎる」


「いやでも一応領主たちが金出して雇ってるんだぜ?」


「そうなのか?」


 二人は部屋の明かりを点しながら話していた所で、食堂の入口の扉が開け放たれた。


「ちょっと! "天魔"はいる!?」


 大声でずかずかと入ってきたのは、先程の試合で彼と対戦した"機神"の中身だった。試合をした時はピッチリとした真っ黒のライダースーツのようなものを着ていたが、今は身軽そうなクリーム色の長袖のブラウスに、すらっとした足を強調する茶色のジーンズ姿に着替えていた。

 明かりに照らされ、より輝いて見える綺麗な紫色の長い髪を揺らして進んでくるが、当の本人は全く興味なさそうに、調理場に上がり込んで、余っている材料や調味料を物色していた。

 コンロ周りがどういう仕組みになってるか確かめているところで、見つかってしまい、彼女は苛つき気味にカウンターを叩いた。


「なんであそこで放置するのよ!」


「私の勝手だろうに」


 激昂する彼女に対して、彼は普段通りに答えるも、彼女は納得いかないようにまくしたてる。


「あそこはあたしを犯すところでしょ!」


「何を言ってるんだお前は」


 コンロを点火して、何処からか取り出したヤカンを乗せて、湯を沸かしながら彼は意味がわからないと言いたげにツッコミを入れると、クルドが思い出したように補足する。


「まぁ、スキル持ちの繁殖もここの目的だからな。

 と言っても、スキルなしのお前がそれを手伝う理由は一切ないが」


 クルドの言葉を聞いて、彼女の語気が少し弱まった。


「…え、あなた、スキルないの?」


「私にスキルはないぞ。

 便宜上スキルを持っているように振る舞っているが、私が使ってるのは、異界の力だ」


 アクレの件があったことを思い出して、意図的にはぐらかして答えると、彼女は何よ、と落胆したように肩を落とした。


「珍しい奴だって聞いてたから、機会があればって言われてたのにさぁ…」


「私がスキルを持ってたところで、手は出さんがな」


 マクスウェルは少し引きながら呟き、湯が湧いたのを確認してヤカンを火から上げて、ポットと茶葉の準備を始める。


「誤解が解けた所でお茶でも飲むか?」


「あ、頂いてもよろしい?」


「あぁ、今三人分淹れる」


 ―手早く用意を済ませ、人気のない食堂で、三人はティータイムを始める。


「なんだか不思議ね」


 一息ついたところで、機神がしみじみと呟いた。


「何がだ?」


 普段通りに紅茶を楽しみながら、マクスウェルが聞くと、彼女はカップを見つめながら答える。


「あたしたちは何人か交流があるのは知ってると思うけど、こんな風に落ち着いて話し合う機会って案外ないのよね」


「そうなのか?」


 意外そうに彼が聞くと、そうなのよ、と頷く。


「一度戦場に戻れば、殺し合う仲だから。リンなんて変な情を持たないように、毎回理性を飛ばす薬を投与されてる位だからね。あたしたちも後腐れないように、過度な交流はしないようにしてるの」


「だから、私のように茶会に誘ったりするのは珍しいのか」


「そういうこと」


 バスケットに入れたクッキーを適当につまみながらそんな会話をしていたところで、思い出したように彼女が聞いた。


「ところで、さっきの話だけど、あなた不能か何かなの?」


「ぶっ飛ばすぞ」


 いきなり失礼極まりない質問に、マクスウェルは珍しく眉間にシワを寄せつつ、ため息混じりに説明する。


「まぁ、不能と勘違いされるのは不本意だから説明してやるが、操を立てているのもあるが、私はここに長居するつもりがないからだ」


「なに、結構身持ちは固い方なの? 別に元の世界に帰れば誰も見てないんだし、羽目を外すくらいいいんじゃない? 何なら、あたしたちなんて孕むのが目的みたいなものだし」


「会話に一々品がないのはツッコむべきか?」


 マクスウェルが呆れつつ確認すると、彼女は気にした様子もなく、当たり前のように答える。


「少なくとも、あたしはそれに疑問を感じてないから良いんじゃない」


 常識の違いはどこにでもある。マクスウェルも彼の常識との差異と認識して、一息吐いてから説明を続ける。


「そうか。

 一々説明するのが面倒だから端折るが、端的に言えば私は人間に似た別の生き物だ。種族として、私は何が相手でも私の種族の子を成すことができる。

 つまり、私がお前を孕ませたとしたら、かなりの確率で私と同じ種族として生まれる」


「そこになにか問題があるの?」


 首を傾げて質問すると、彼は真剣な顔で続ける。


「私の種族は同族の介助がなければ、生後数日で確実に命を落とす。そして自立出来るまで、少なくとも10年前後は目を離せない。

 過程はどうあれ、私の子が無意味に死んでいくのは流石に許容できん。だが、私はここに長居するつもりはない。

 故に、安易な過ちは起こさない、ということだ」


「ふーーん」


 どうでも良さげに彼女は伸びをして、テーブルに突っ伏したまま、彼の方を向いた。


「ま、事情があるなら仕方ないね。

 また話は変わるけど、君が使ってたあの武器何? あれで装甲だけじゃなくてシステムも全部落ちたんだけど」


「気になるか?」


「勿論。教えてくれるの?」


 面白いくらいに目を輝かせて彼を見つめ、マクスウェルはクッキーに手を伸ばして、話しだした。


「前提知識に電気関係の知識が必要なんだが、大丈夫か?」


「大丈夫よ、多分。こっちにはそういうスキルがあるからね」


「…本当に、神の力とは不思議だな」


 自信満々に胸を張る彼女に向けて、マクスウェルは少し悔しそうに呟いた。


「なにか言った?」


「いや何も。

 まぁ折角だからちゃんと授業をしてやるか」


 適当にごまかし、彼はどこからか伊達メガネとホワイトボードを取り出して、そのまま話を始めた―

備考…キャラ紹介

機神…所持スキル 物質創造/天啓/加速/再生

最近復帰した闘技者。

物質創造のスキルで作り上げた鉄の巨人に搭乗し、あらゆる知識を身につけられる、天啓のスキルから得た知識を利用して機械化させることで、巨人を意のままに動かして戦う女性。しかし本体の戦闘力は皆無に等しく、特別に機体の破壊が敗北と同じ扱いとされている。

話から察しているだろうが、"赤の天使"に敗北した際、そのまま強姦され、妊娠している。その出産や産休を終えて復帰したが、怨敵は既にマクスウェルによって殺されていた。

特に闘技場において、敗者はそのまま強姦されることが多く、それも含めて興行となっている。

本人もそれは昔から知っていたことであり、それが当たり前であると教育されていることから、マクスウェルに対して不信感を覚えていた。結局、本人と話して誤解と理解したため、納得していた。彼の知識は彼女としても新鮮で、可能であれば交友関係を続けていたいと望んでいたりする。



備考…

・マクスウェルの世界の機械について

今回、電磁砲という近未来的な兵器が出ていたが、彼の世界にあったものを魔法を使って再現したもの。

彼の世界では魔法と機械は融合して存在しており、機神の機体のようなパワードスーツ以外にも、機械の義手や魔法を利用した発電機、魔法の源であるマナを封じ込める機械など、様々な技術が存在している。


・魔族について

マクスウェルの種族は、本来相容れない筈のヒトと魔物の異種間で交配を続けた結果、生まれた産物である。そのため、種を残すためにも異種間でも関わらず妊娠しやすく、させやすい。

彼はその魔族の中でも変異種、もとい劣等種と呼ばれる種族であり、元々生命維持に必要な魔力が少なく、子供は介助をしなければすぐに死んでしまうことを踏まえて、安易な性行為には及ばないと誓っているだけであって、決して不能ではないということだけは伝えたかった。

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