表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
辻斬りミヤビは配信者!  作者: 冬の雨
2/3

プロローグ2

この現代社会は、人を堕落させる罠が途轍もなく多い。

SNSはその最たる例だ。

とはいえ…便利だから使うのは致し方ない。

自分も最低限の環境を整えてあるし、テレビを見たりゲームをしたりしたこともある。


しかし、多様性や個人の意思やらが尊重され、己を鍛えるなんて行為自体が、弱視されているような気がする。


弱い自分を変えるために、夢のために、努力することすら諦めて、堕落し続けて…


自分は他人を気にする性分ではないが、余りにも甘ったれてるみたいに思てしまう。

生き残るためには…

戦い続けなければいけない。

弱者など生きることさえ許されない時代で育った自分にとっては余りにもカルチャーショックだった。


そんな自分もこの現代社会に生まれて15年の歳月が流れる今日。

最初は文明の進化に驚愕の連続だったがもうちょっとやそっとでは驚くことは無くなった。


代わりに、とても生きづらく感じる。


人それぞれ沢山の道がある。

仕事や夢、趣味がある。

ただ、剣客としての道は廃れてしまった。


剣道はとてもいい武道ではあるものの…

剣の極みにあるかと言われると、少し小首を傾げる所だ。

合理的なスポーツの域を出ない。


その道の究極に達した『本物』達に人々は惹かれるが、その領域にいる人間は、常軌を逸した鬼才か、死に物狂いで戦い続けた狂人だけだ。

もしも両方に与するならば…

その者は魔法すら使えるようになるだろうさ。






◆◇





少女は己を研磨する。

十五年あまりで、全ての無駄を削ぎ落とし体術、剣術に最も適した身体を作り上げ、五感を極限まで引き上げた。


空間把握能力、反射速度、並列思考、完全記憶などなど、元からこの身体は様々な才能があって、前世の血みどろの努力で作り上げた能力よりも数段高いレベルにある。


ただ、その代わりかのように力では前世より大幅に劣る。

性別が男から女に変わってしまったせいなのか…

柔軟性や技術で力という項目を覆すしかない。

小細工も必要なのだ。


そしてもう一つ…

肌が日光に弱いというなんとも致命的な欠点があった。

病名は先天性白皮症アルビノといって、比較的珍しいものらしい。


たまに肌白いの羨ましいと言われたりすることもあるが、正直デバフなのだ。

瞳の色も、宝石とされる翡翠のような色合いで綺麗とは言われるが、サングラスつけないと眼が日焼けする。


白髪だからおばあちゃんみたいなんて揶揄われたこともある…


心や感性がこの身体に結構引っ張られているため、泣いたり至らぬ点が多くあったりで、前世で60年近く生きた自分にとっては大分きついものがあった…


十四の時、親二人が交通事故で他界してから、母方の祖母が自分の親権を代理として務めるようになってバタバタとしていたがようやく最近落ち着いてきた。


親の遺産相続や保険金は、祖母が自分のためにと全く手をつけず残してくれて、いつでも好きに使っていいと言われた。


刃がしっかりと入った刀欲しいなぁ…なんて、

銃刀法違反なんていう法律ができたせいで刀を持ち運べないのが悔やまれる。


それにしてもだ。

親が亡くなるっていうのは、辛いものだった。

自分の方が総合的には年上だけれど…それでもなお、有り余るものを送ってくれた親という存在は偉大だ。


毎晩泣き腫らした。

前世が最強の剣客だとしても…

自分は今、ただの少女だ。


かえでがうら みやび

今はまだ何者でもない一人の少女。

それが今の自分。

そのことをよく念頭に置かなければいけない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ