最終話 傲慢
リンネに捕まった後、俺は地下の空間に監禁された。
真っ黒な空間で俺は冷静にさせられた。
俺の人生は天狐との出会いから始まった。俺は俺なりに頑張って、守ろうと多くを敵に回して戦った。だが、最終的に天狐は死んでしまった。
当時は苦しんだが、次の白碑に会う頃には乗り越えて精神的には何にも問題はない状態になった。
もうとっくに乗り越えた過去だと思っていたが。今更、俺の心を絞めつけて来る。
だが、異世界ではみんなを守れている。このままいけば、俺は守りたいものを守れるかもしれない。
いや、違うな。俺は守りきれちゃいけないんだ。
あの事件以降、俺が守りたいと思った女性はすべて殺すか守るという名目で別組織に渡したりした。
白碑は能力研究所に入れて、あと一人、『死神の忘れ物』紫峯魂の時は死にかけた彼女をシルトで吸収した。《死神化》の時のシルトは彼女の魂を俺に纏わせていた。
俺は救っちゃいけない存在なんだ。
このままだと俺はリンネを殺してしまう。
もう、俺は疲れた。
シルトは体内からも出せる。
自殺はしたくはなかったが、周りからすれば俺はいない方がいい。
最後に救えてよかった。
後は、薫の奴がどうにかするだろう。あいつは正しく『チート』だ。生き抜くことでも体力を使っていた俺に比べてあいつなら守りたいと思うすべてを守れる。
死神の足音が聞こえる。
コンの奴が俺を殺しに来たみたいだ。
「巻き込み転移で、俺だけのチートで死ぬのか」
巻き込んでしまった二人には申し訳ないが、俺はいい死に場所を見つけた。
ここなら恵に見つかることもない。あいつは自殺しても復活させる能力を持っている。
「じゃあな。みんな」
これにて『巻き込まれ転移!? 俺だけのチートで生き抜いてやる』は完結です。
ブックマーク、評価等ありがとうございました。お陰でここまで話を続けることができました。
そして、ここまで読んでくださった方もお疲れ様です。
もし、いい感じにモチベーションが上がったら、ローファンタジーの方で2章以降のケントがすべてを救い出せた世界線の物語も書こうかなと思います。
それでは次回作でお会いできるのを楽しみにしております。
村岡太一