三九話 最強くんの異世界蹂躙劇2
「少しは楽しめたか?」
すべてを破壊し、敵を地面にひれ伏せさせた。
「な、なんでこんなに強いんだ?」
「お前の能力の上位互換だからな。どれだけ頑張ろうとお前は俺には勝てない」
一方的に嬲っているだけだったが、こいつの能力は大体分かった。
魂を操る《ネクロマンス》ともう一つ《範囲世界適用》。この二つの能力だった。
「お前は世界の一部の力を借りることができるだろ? 俺の能力はお前の能力からあらゆる制限を取っ払ったものだ」
「そ、そんな」
「じゃあ、少しは楽しめたぜ。いや、別にそうでもなかったな」
かなり相手に攻撃させたせいか戦闘跡がかなり悲惨なことになっている。
まあ、元々隕石でぶっ壊されていたし、俺の知る所じゃねえな。
「司書子。魔王城はどっちだ?」
「あっちの方向です……」
「じゃあ、少し魔王の面でも拝んでやるか」
――――――
魔王城に向かう道中で、戦闘で警戒を強めていた角の生えた魔族が軍隊で俺を待ち構えていた。
「雨よりも弱ぇな」
司書子を守りながらにしても小粒ほどの魔法は俺には効かない。
「雑魚には興味はない」
ほとんどの魔族は土の蔦で拘束した。
だが、一人だけ拘束を躱し、俺の前まで接近してきた。
「私が相手だ!」
天使の羽? が二対生えている赤髪の女だ。
「バカな女はあまり好きではないが、元気な奴は好きだ。何手か先手を譲ってやる」
「感謝する。おぉー! 《不死蝶の焔》」
不死蝶? 不死鳥じゃなくて? と思ったが、本当に炎の蝶が俺の体に纏わり着いた。
「お!?」
少し熱い。
痛みとかはないが、この空間にしばらくはいたくないと思わせるほどの熱だ! 不快指数という言葉を俺が使う機会が来るとはな。
何か俺の知らない場所から力を引っ張ってんな。
「俺の視界を潰してからの斬撃か。惜しいな。剣がもっとマシな物だったらワンチャンあったかもな」
「剣が砕けた!?」
「俺は元気な奴は好きだ。一撃で楽にしてやる」
さっきの男は少し能力に慢心してイキっていただから、すべての手を潰し、圧倒的なまでの格の違いを教え込ませた。
だが、この子は見た目もいいし、元気で明るい。少し恵ちゃんと似た所がある。
こんな子、相手に俺が残酷なことができるかと言われれば、そんな趣味はない。
「あっ。そうだ。忘れてた。里川健人って知っているか?」
「サトガワ? は知らないがケントは――お前は何者だ!?」
「いい女だ」
こいつは健人の奴と何かしらの繋がり、それも深い繋がりがありそうだ。
「俺はあいつの同じ世界から来た。っと言えば分かるな」
「そうか。それならば私に決める権利はないな。分かった。これ以上暴れないのならついて来てくれ」
そう言って、赤髪の女が案内したのは魔王城のおそらく魔王の間っぽい所だった。
「騙されたっとでも言えばいいのか?」
俺を魔王とのタイマンに持ち込んだのか。
「お前が……お兄ちゃんの同郷という訳か」
目にも止まらぬ高速移動。と言われる速度なんだろうが、俺にははっきり魔王の動きが見える。
そして、俺は魔王の姿を見て動揺してしまった。
時間にしては極小だが、判断が鈍るには長かった。
俺は拳を受けて壁に吹っ飛ばされた。
「拳は痛んでないかな?」
当然ながら俺は無傷だ。痛みすら感じない。
俺は殴った側の心配をした。
「恵ちゃん。その翼、かっこいいしかわいいね。どこで買ったの?」
「な、なんだお前は!?」
「いや、不快にさせたなら謝るよ。ごめん」
この子は恵ちゃんではないことは分かっているが、俺には攻撃なんて到底できない。
俺にとっての完璧な美少女が恵ちゃんだ。後数年して体が完成した頃には俺は直視すら出来ないと思うほど、熱狂的なファンなんだ。
「ああ。そうだ。君が望むならこの世界の人間を皆殺しにしてもいいよ。俺にはそれができる。君は何かしらの制約でここから出られないんだろう?」
「何を企んでいる!?」
「いや、まあ。ここから離れれば殴れないだろうから、一回離れるね」
俺は壁を突き破り魔王城の外に出た。
「赤髪の女め。騙すにも限度があるだろうが。まあいい。お前の身柄は確保しているからな」
「こ、殺せ! ケントを裏切るぐらいなら死んでも……えっ」
捕まえていた女が突然涙を流し始めた。
「どうした?」
「ケントが、ケントの命が消えた」
「……」
説明は出来ないが、この女はあいつと何かで繋がっているのは分かる。
「おい。今すぐ案内しろ。俺はこの目で見ないと信じないぞ」
「この地下にいる」
地下に確かに空洞がある。俺は能力で地下までの穴を作り落ちた。
「あーあ。これは」
落ちた先には紫の髪の女が健人の死体を見て泣いていた。
あいつは、喉からシルトを突き出し死んでいた。
「つまんねぇな」
お前が死んだら、こっから先はねぇだろうがよ。




