男だったら誰もが抱く欲求だと思う
アクラシエルの言葉通り、バトラーを呼ぶと、すぐさま身長やウエストなどの測定を始めた。
これから服を買いに行くのかと思ったが、今、地上は朝の7時過ぎ。
こんな時間にあいている店があるのかと思ったが……。
「お待たせいたしました。こちらでいかがでしょうか」
バトラーは神の家に用意されていた人間の服を持ってきた。
「あ、あの、もう少し丈の長いスカートはないのでしょうか?」
ソフィアは用意された服を手に、困惑している。
「大変申し訳ございません。ここ、日本の神の家に悪魔狩りでいらっしゃる天使の皆さまは……約五百年ぶり。さらに女性の天使となりますと、約千年ぶり。御婦人の衣装の用意が万全ではなく……。着物でしたらご用意があるのですが、悪魔狩りには不向きかと。現状ご用意できるのはこれだけですが、お時間をいただければ、デパートへ出向きます。いかがいたしましょう」
ソフィアが手にしている衣装を見た。
確かに丈が短い。でもソフィアはスタイルがいいので、似合わないとは思わない。
というか、こんなに丈の短いスカート姿のソフィアを見ることは……天界にいる限り、この機会を逃せばないと思った。
……見てみたい。
男だったら誰もが抱く欲求だと思う。
しかし……。
「では男性の衣装を着るのは?」
アクラシエルの提案に、ソフィアは飛びついた。
残念に感じたが、男性の衣装を着ることを、否定する理由を思いつかない。
こうして。
俺たちは着替えた。
アクラシエルはなんだか学生のようだ。
白いシャツにエンブレムのついた紺色のブレザー、そしてブレザーと揃いのセンタープレスされたズボン。腰まであるストロベリーブロンドの髪はそのままおろしているので、男子の制服を着た女生徒のようだ。
ソフィアは完全に男装の麗人。
黒いシャツに黒のベストに黒のスリムパンツ。長い髪は後ろで一本で束ねているが、豊かなバスト、形のいいヒップと、どう見ても女性だ。でも服は男性もので……。
俺はというと、グレーのシャツに黒のネクタイ、黒のブーツカットパンツ。当たり障りのない衣装だ。
着替えを終え、バトラーから借り受けたスマホで、エミリアの番号に電話をした。
が、「おかけになった電話番号は現在使われておりません」とアナウンスが流れてしまう。
お店の番号……と思ったが、もっぱら連絡はエミリアのスマホにしていたので、思い出せない。ソフィアに言われ検索したが、悪魔向けの店だし、ネット上でエミリアの店の情報を拾うことは無理だった。
ラファエルに連絡し、エウリールに代わってもらい聞き出す……ということもできたが、二人は仕事中。
さすがに私的な用事で邪魔するのは、憚られた。
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次回更新タイトルは「お店、営業は夜からですけど」です。
明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。
それでは明日も学校、お仕事、頑張りましょう‼




