とんでもない事態が日本で起きていた
「会って話すぐらいなら大丈夫だよ。主は多忙の身だ。監視していると言っても、常時見ているわけではないからね。主の教義に反することをすれば、その瞬間に縛りが発動し、一切の身動きがとれなくなる。その先は……反した教義に応じ、裁きが下されることになる」
「なるほど。では誰かの目を気にする必要はないんだな? アクラシエルと会い、話すことはできるんだな?」
「もちろん。マスコミはいるが、それはどうとでもなるからね」
ラファエルのこの言葉に、アクラシエルが安堵の表情を浮かべる。
「では15時にお前のマンションの入口に、アクラシエルを連れて行けばいいか?」
「いや、こちらから迎えに行くよ」
「神の家に来るのか⁉」
驚いて声が裏返る。
「人間の体ではあるが、この存在は大天使のままだからね」
「……神の家にいるバトラーや他の職員に、アクラシエルと会うところを見られて大丈夫なのか?」
「問題はないよ。私が地上に堕ちた時、同じようにガブリエルとミカエルはこの神の家に降臨した。私は二人に会うために神の家に行ったのだから」
極東のアジアの小さな島国に、人間の身になったとはいえ、ウリエル、ラファエル、ガブリエル、ミカエルの大天使が四人も揃うなんて……。
とんでもない事態がここ、日本で起きていた。
「分かった。では時間になるまでここで待っていればいいんだな」
「うん。待っていてほしい。……ウリエルも連れて行った方がいいのだろう?」
「勿論だ」
「了解だよ。……マティアス、すまないがそろそろ戻らなければならない。最後にアクラシエルの声を、聞かせてもらえないかい?」
アクラシエルにスマホを渡す。
「俺がやっていたように話しかければ、ラファエルに声が聞こえるから」
アクラシエルは俺からスマホを受け取ると、輝くような笑顔で声を発した。
「ラファエル様、アクラシエルです。お声を聞けて安心しました」
「……アクラシエル、わざわざこんな場所まで降りて来てくれてありがとう。必ず会いに行くから、待っていてほしい。愛しているよ」
「お待ちしています、ラファエル様。……私もラファエル様のことを愛しています」
スマホをアクラシエルから受け取り「ではまた連絡をくれ」と言い、通話を終えた。
昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!
この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!
本日は2話公開です。引き続きお楽しみください~。




