今すぐ見にいって行きます
「やっぱりマティアスさんはここの部屋にいたのですね。これから三人で会う時は、ソフィアさんの部屋に集合でいいですか?」
アクラシエルの言葉に頷く。
前回案内された部屋より狭かったが、一人部屋にしては広すぎる。
天蓋付きのベッド、シャンデリア、重厚なカーテン、調度品、暖炉など、以前通された部屋にあったものはすべて揃っている。ベッドも十分な大きさだ。
それに椅子とテーブル、ソファもある。
「では作戦会議でいいですか?」
アクラシエルに促され、ソフィアと俺はソファに座る。
一人掛けの椅子に座ったアクラシエルは、早速口を開いた。
「ラファエル様の居場所が分かりました」
「……!」
ソフィアも俺も驚きで声が出ない。
「先ほどのバトラーに日本での悪魔の様子を尋ね、その流れでラファエル様のことも尋ねたのです。するとラファエル様はこの神の家からほど近い、セントラルヒルズタワーというマンションに住んでいると教えてくれました」
ラファエルに関するアクラシエルの行動力の速さに、思わず舌を巻く。
「ラファエルの居場所は分かった……となりますと、あとはいつだったらその部屋にいるか、ですよね」
ソフイァがそう言っている間にも、アクラシエルは立ち上がっていた。
「部屋番号も分かるので、今すぐ見にいって行きます」
「アクラシエル、落ち着け」
アクラシエルは「?」という顔で腰をおろした。
「バトラーがラファエルの居場所を把握しているというのは、どのレベルで把握しているんだ? 修行中と言えど、大天使だ。その身に何かあると大変だ。だから護衛をつけているのか。もしくは定期的に監視をしているのか。それともそこに住んでいるという情報だけ把握しているのか。ラファエルに対する天界の向き合い方によっては、アクラシエル、お前がラファエルに会いに行ったことが天界にバレ、問題になるかもしれないぞ」
アクラシエルは「なるほど」という顔になる。そして……。
「確かにマティアスさんの言う通りですね……」
シュンとするアクラシエルを、ソフィアが励ます。
「地上にはパソコン、スマートフォンという電子機器があります。これを使えば、ラファエルに直接連絡を取ることが可能です」
アクラシエルの顔が分かりやすく明るくなった。
「それはどこで手に入りますか?」
「それを手に入れるにはお金や身分証などが必要になります。私達で手に入れようとするのは、難しい気がします」
アクラシエルが悲しそうな顔になった。すかさずソフィアは……。
「バトラーに手配してもらうことはできないですかね? 悪魔の居場所を特定するために地図アプリを使いたい、と言えば、スマホの一台ぐらい用意してくれそうですが……」
アクラシエルは何か言いかけたが、スマホのことが分からないようで、口をパクパクさせている。
「ソフィア、そのアイデアはいいと思う。内線でバトラーに聞いてみよう」
ソフィアは頷くと、電話機に向かう。
「大丈夫だ、アクラシエル」
「……マティアスさんとソフィアさんは、本当に地上のことに詳しいですね」
……エウリールが禁忌をおかし、俺たちの記憶を取り戻してくれたからな。
「マティアス様、アクラシエルさん、スマホを一台貸してくださるそうです」
ソフィアが笑顔で報告した。
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次回更新タイトルは「二人だけしか知らない秘密」です。
明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。
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