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完結●千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode2】天界大騒乱

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寂しがり屋の元魔王

地上が見えてくると、自然と懐かしいという気持ちが沸きあがる。


何の縁もゆかりもない極東の島国・日本だった。

そこに住んでいたのはわずか数カ月。

でもそこでは初めて体験することも多く、とても密度が濃い時間を過ごした。

何よりこの地で俺はソフィアにすべてを打ち明け、想いを伝えたのだ。


「あっ」


ソフィアが小さく声を漏らす。


俺たちの住んでいたエリアのシンボルとなるタワーが見えたのだ。


懐かしそうな顔をソフィアはしている。

ここで過ごした時間を、ソフィアもまた思い出しているのだろう。


「マティアスさん、ソフィアさん、神の家はあちらです。あの輝きが目印です」


アクラシエルが言う方角を見ると、神々しい輝きが見えた。


天使の光にも等しい強い光。

俺が魔王だったら、今ごろ目が眩んでいたところだ。


ゆっくり神の家のエントランスに降り立った。


すぐにドアマンがドアを開き、中からバトラーらしき人物が現れる。


「お待ちしておりました。悪魔狩りの騎士の皆さまですね。マティアス様、アクラシエル様、ソフィア様。どうぞ、こちらへ」


エントランスホールに入ると、あの日のことを思い出す。


「二人とも、よく来てくれたね」


俺たちを迎えに出てきたphantom……ラファエルは、ウオッシュ加工された白シャツに、体にピタッとフィットした黒い革のズボンをはいていた。


そういえばあの時はラファエルが女性にしか見えなくて、その後ろ姿を……黒い革のズボンに包まれたキュッと引き締まったヒップを、女性であると確認するためにガン見して、ソフィアに怒られたんだっけ。


思い出し笑いをする俺を、アクラシエルは不思議そうに見ている。一方のソフィアは、俺が何を思い出したか気づいたようで、ぷうっと頬を膨らませていた。


「ご滞在中は、こちらの三つのお部屋をお使いいただくことになります」


白髪のバトラーは、手前の部屋のドアをカードキーを使い開けると、中に入るように促す。


「マティアスさん、どうぞこちらの部屋を」


アクラシエルに言われ、俺が部屋に入ると、バトラーが後に続く。そして部屋について簡単な説明を行い、最後にこう告げた。


「こちらの内線電話でレセプションにつながります。そちらで御申しつけいただければ、お食事のご用意から掃除、必要な物のお届け、お部屋のトラブルの対応などすべて行いますので」


俺が頷くとカードキーを渡し、バトラーはドアの方へ向かう。


廊下にはソフィアとアクラシエルがいたが、バトラーが出るとドアが閉じられ、二人の姿は見えなくなった。


……。

当然と言えば、当然の対応だ。

ソフィアと俺は婚儀を挙げていない。

天界で同じ部屋に住んでいるのは……アクラシエルの配慮があったからだ。でも今は悪魔狩りのパーティとしてここに滞在するわけで、ソフィアと俺の関係なんてバトラーは知るよしもない。


そうとは分かっていたが、気持ちが落ち着かず、すぐに部屋を出る。


廊下には誰もいない。


バトラーが部屋を案内中かどうか分からなかったが、とりあえず隣の部屋のドアをノックした。


すぐにドアが開き、ソフィアが顔を出す。

部屋に入ると、ソフィアを抱きしめた。


お互いに『役割』をこなす時は離れ離れになっているのに、ただ別々の部屋に案内されただけで不安になってしまう。


「マティアス様……」


ソフィアが驚きながらも、俺の胸に体を預けていることが感じられた。


「別々の部屋なんて認めない。ソフィアもそうだろう?」


「……ではこの部屋で一緒に過ごしましょう、マティアス様」


そう言ってソフィアが俺を見上げる。


「うん」


短く答え、ソフィアにキスをしようとしたその時、ドアがノックされた。


アクラシエルだ。


ソフィアとキスしたいところだが、アクラシエルはラファエルに会いたい気持ちを我慢している。ソフィアから体を離し、ドアを開けた。

昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!


次回更新タイトルは「今すぐ見にいって行きます」です。


明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。

それでは明日も学校、お仕事、頑張りましょう‼

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