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完結●千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode2】天界大騒乱

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名案です!

「騎士と言ってもその身は天使。何者かの命を絶つという行為は、天使にとって苦痛でしかありません。ですから『癒し』を受けることは重要です。何よりも悪魔の血を流した武器と長く一緒にいることは、心身に悪い影響しか与えません。ですから通常は天界へ帰還したら、神官による『癒し』を受け、武器を返還して清めてもらうんです。そして綺麗さっぱりリセットされたら、また翌日、戦場や悪魔狩りに向かうのが通常なんです」


「なるほど」


俺は甘い西洋ナシを口に入れた。


「でも特に力が強い天使は毎度帰還するのではなく、『神の家』に滞在し、自身の力で『癒し』を行い、武器を清めるんです。それをパーティの仲間同士で行う。力が強いと言っても大天使ではないですからね。滞在するといっても二日から三日程度ですが。でも三日もあればラファエル様を見つけられますよね⁉ 『神の家』に滞在しながらラファエル様を探すというのは名案だと思います」


アクラシエルの笑顔は輝いている。


「ふと思ったのだが、それなら『神の家』のスタッフにでもなれば、ずっと地上にいられるんじゃないか?」


アクラシエルは「残念ながらそれは無理なんです」と言い、こう説明した。


「『神の家』に仕えているのは人間なんですよ。人間と言っても、ただの人間ではありません。天界の定める厳しい基準をクリアしている聖職者であり、『神の家』に仕えるようになり、日々天界の食べ物を口にすることで、聖人となった人間です。この状態の人間は、人間であり、人間ではないというか。聖人が死ねばそれは即天界行き決定、天使に生まれ変わる、そんな感じです」


「なるほど。もしかすると俺は天界の食べ物を口にした上でラファエルの力を受けた。だから天使になり、天界に行くことができたのか?」


アクラシエルは頷く。


「それもあると思います。ただ、マティアスさんの場合はいろいろな要因が重なった結果とは思いますが」


「なるほど。まあ、その件はどうでもいい。地上に数日滞在できるなら、それに越したことはない。いいか、アクラシエル。お前は俺たちとパーティを組んで悪魔狩りへ向かう。そして『神の家』に滞在し、ラファエルに会いに行く。この提案に同意するか?」


アクラシエルは首を何度も縦に振り、同意を示す。


「反対する理由がありません。私をマティアスさんとソフィアさんのパーティに加えてください。そしてラファエル様に会わせてください!」


「よし。そうなると『天界軍騎士総本部』に行って、三人の騎士登録をして……」


「『役割』を休む件は任せてください。ホワイト・ベーカリー、図書館、共に話をつけておきますから」


「分かった。俺が調べた限り、騎士登録は即日で完了し、能力の度合いによって悪魔狩りにもすぐ出られるようだが……」


「私は武器が扱えませんが、天使の光と癒しの力は相応に強いと思います。そしてソフィアさんは弓、マティアスさんはもう武器の記録があるから何も問われることはないと思います。恐らくその場でソフィアさんと私の力を確認し、問題なければそのまま悪魔狩りに向かうことが認められると思います」


アクラシエルは目を輝かせながらそう答えた。


「では早速明日、決行か?」


「ぜひ」


笑顔でアクラシエルは頷く。


「『神の家』に滞在するにあたり、何か必要か?」


「すべて揃っているので、大丈夫だと思います」


「分かった」


それでこの件の話は終わった。



昼食後、アクラシエルと俺は四十六階へ向かった。


俺はいつもの場所に、アクラシエルは俺から少し離れた場所で横になる。


窓から見える宇宙を感じさせるあお空を眺め、地上のことを思った。


ロルフとベラはどこにいるだろうか。

エウリールは見つかるだろうか。

いや、みんなのことは大丈夫だ。

エミリアの店に行けばすぐ所在が分かるだろう。


ラファエルの居場所は、神の家の者に確認すれば分かるはずだ。

もしそれで分からなかったら……。


phantomとしての活動を続けているのだろうか……?

もしphantomとして音楽活動を続けているなら、田中さんに聞けば……。


いや、田中さんはソフィアと俺が突然消え、相当迷惑をこうむったのではないか?

連絡をとっても相手にされない……気がする。


そんなことを考えているうちに俺は眠りに落ちた。



またも自然と目が覚め、それは丁度昼休憩が終わる時間だった。


離れた場所で眠るアクラシエルを見ると……。

アクラシエルは天使だった。

だからこの表現は陳腐すぎるが……。

その寝顔はまさに天使だ。


「ラファエル様、会いたかったです」


その寝言で、アクラシエルが夢の中でラファエルと再会しているのだと分かった。


微笑を浮かべるアクラシエルを起こすのは……それはそれで躊躇ためらわれ、アクラシエルをそのままにして、一階へ降りた。

昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!


次回更新タイトルは「忘れていた。そんな大切なことを」です。


明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。

それでは明日も学校、お仕事、頑張りましょう‼

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