表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完結●千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode2】天界大騒乱

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/190

私ではない女性と出会っていたら

家に着くと、ドアの前にはアクラシエルの言う通り、白百合の鉢が置かれていた。


「これを一晩夜露にさらすなんて、可哀そうです。帰って来られて良かったですよ」


ソフィアは鉢を抱え、部屋の中に入っていく。そして出窓に鉢を置いた。


今晩は夜空の散歩はお休みにしようとなり、ソフィアは俺にシャワーを浴びることをすすめた。


「その間に晩御飯の支度をしますから」


その提案に従い、シャワーを浴びる。


食事を始めると、ソフィアはアクラシエルのことを話し始めた。


「ドアの前にあった白百合の鉢も、アクラシエルさんが私達を気づかって置いてくれたものですよね。本当にアクラシエルさんは……よくしてくださると思います。ただ、ずっと与えていただいてばかりですと、申し訳ない気持ちにもなります。私達で何かアクラシエルさんにできることはないのでしょうか?」


この言葉を聞いて嬉しくなっていた。


俺と同じようにソフィアも、アクラシエルに何かしたいという気持ちになっていたことに。


「実はソフィアと同じことを考えて、俺はアクラシエルに尋ねたんだ。そうしたら『何もできなくとも、ただラファエル様にお会いして、おしゃべりをしたい』、そうアクラシエルは言っていたんだ」


「そうなのですね……。地上へ行く方法は……」


ソフィアが思案顔になる。


「図書館の蔵書で調べたが、基本的には悪魔狩りか大天使から特別な任務を与えられた時ぐらいしかない。大天使からの任務、と言ってもそれはしゅによる指示だ。それはよっぽどのことだろうし、ただの天使が地上へ行こうと思ったら、やはり悪魔狩りしか手段はないと言える」


ソフィアはドライフルーツがたっぷり入ったパンをちぎりながら首を傾げた。


「天使と人間が恋に落ちることはよくあるようですが、そうなるとそれは悪魔狩りへやってきた天使が人間を好きになった、ということなんですかね?」


「そうなんだと思う。……正直、俺が悪魔狩りで地上へ降りた時は、ガブリエルにこきつかわれていたから、人間を見る余裕なんてなかった。でも恐らく、俺は特殊だ。悪魔がいると思われる場所へ行っても、必ずしも悪魔に出会えるとは限らないと思う。


俺がソフィアと初めて会った場所は辺境の地で、あんな場所に堕ちた悪魔なんて俺ぐらいしかいないのでは?という場所だった。


だから悪魔を探す中で悪魔と出会わず、代わりに人間と出会い、そして恋に落ちることもあるのだと思う」


「そうなんですね。……でも辺境の地にマティアス様が堕ちてよかったです。私ではない女性と出会っていたら……」


手を伸ばし、指輪をつけているソフィアの左手を優しく持ち上げた。


「ソフィア以外の女性と出会っても、俺の心は動かなかったよ。俺にとっての運命はソフィアだから。そうでなければ千年もの長い歳月、想い続けることなんてできないだろう?」


ゆっくりと、掴んだ手の甲に口づけをした。


「マティアス様……」


頬をバラ色に染めるソフィアのその姿に、今すぐ抱きたいという衝動に駆られる。


だがそれを抑え、ゆっくり手を離した。


「……地上に行く方法は悪魔狩りのみ。それはアクラシエルさんも分かっていますよね? でも悪魔狩りに参加しないのは……」


ソフィアが俺を見る。


「うん。それについては『マティアスさんのように逞しく、屈強で強靭な肉体があれば、私も悪魔狩りに参加して地上へ行き、ラファエル様に会えるのに』と言っていた。確かにアクラシエルは……どう見ても戦闘向きではないからな」


するとソフィアは俺とまったく同じ反応を示した。


つまり、強い騎士とパーティを組み、悪魔狩りへ行けないのかと尋ねたのだ。


それに対し、アクラシエルから聞いたことを話した。騎士自身とパーティの成果を、しゅが武器を通じて把握しているのだと。


「そうでしたか。そうなるとアクラシエルさんとパーティを組む騎士はいないということですね。……それではマティアス様と私とアクラシエルさんでパーティを組み、悪魔狩りへ行くのはどうですか? 


先ほどのお話ですと、悪魔狩りへ行っても必ずしも悪魔に出会えるわけではなく、空振りで終わることもあるわけですよね? 


であるならば三人で悪魔狩りに行き、アクラシエルさんはラファエルに会う。マティアス様と私はロルフやベラ、運が良ければエウリールやエミリアさん、田中さんにも会えるかもしれませんよ?」


ソフィアは野菜スープが入ったマグカップを手に微笑んだ。

昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!


次回更新タイトルは「ソフィアの秘密」です。


明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。

それでは明日も学校、お仕事、頑張りましょう‼

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ