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完結●千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode2】天界大騒乱

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儀式

自動ドアなのか?


扉が勝手に動いたと思ったら、神殿の中にアリエルがいた。


よく見ると、左右の扉の背後にも、女天使がそれぞれ控えている。自動ドアではなく、この天使たちが扉を開けたのだ。


それよりも。


なぜ神殿の中にアリエルがいるんだ? ガブリエルとは既に婚儀を終えているはずなのに。


アリエルは、ガブリエルを思わせる優美な笑みを浮かべる。


それはやはり見ている者の頬を緩ませる力があった。


これもガブリエルの加護の影響なのか⁉


「これはこれはマティアス、清めを始める神殿に何用か?」


「清め……?」


「そう。神殿は使用の有無に関わらず、定期的な清めの儀式が行われる。神殿の隅々まで清め、神の力で満たす。そして最後にガブリエル様の手で、祭壇にしゅが祝福した白百合と赤い薔薇の花を飾る」


「な……こんな時間から行うのか⁉」


「ガブリエル様はお忙しい身。そして神殿の利用者は少ない。ガブリエル様の予定を優先してこの時間になったが、何か文句でもあるか?」


鈴を転がすような綺麗な声で、アリエルが尋ねた。


そのアリエルの後ろには、何人もの天使がいる。


もしアリエル一人であれば、俺たちへの嫌がらせと思えた。だがこれだけの天使がいるなら、予め組まれていた清めの儀式なのだろう……。


「……いや、文句などない。儀式が行われるなんて知らなかった。邪魔をするつもりはない」


そう答えると、ソフィアの手をとる。


「……帰ろう、ソフィア」


さすがにソフィアも事態を把握したようで、何も言わずに手をつなぐと、階段を降り始めた。



階段を降りると、ソフィアは空を飛んで帰ることを提案した。


丁度夕焼けで空が茜色に染まり、美しかったからだ。


「マティアス様、いいお散歩になりました。帰ったら美味しい胡桃のパンを食べましょう。蜂蜜をつけていただくと美味しいそうですよ」


空を飛び始めると、ソフィアはそう言って落胆する俺を励ましてくれる。


「邪魔をされたわけではありません。あらかじめ決められた儀式なら、仕方ないですから」


「そうだな」


ソフィアが前向きなのに、いつまでも落ち込んでいるのは……。


その時だった。


前方から慌てた様子で飛んでくる二人の男天使がいた。

俺たちの上空を飛んでいく際、二人の会話がたまたま聞こえてくる。


「まったくこんな時間から清めの儀式なんて、ありえないな」


「本当に。しかも急に呼び出すなんて。いくら俺たちが騎士で『役割』がないと言っても、この時間は酒を飲み始める時間なのに」


ソフィアと俺は思わず立ち止まり、すごい勢いで去って行く男天使の後ろ姿を見送った。


「……ソフィア、今の話、聞いたか?」


「……はい。聞きました。清めの儀式は急遽決まったようですね……」


「つまり、俺とソフィアが神殿へ向かうと知って、邪魔したわけだな……」


「……そう、考えるのが妥当ですね」


二人してため息が漏れている。


徹底してガブリエルは、嫌がらせを続けるつもりなのだろうか?


大天使とは思えぬ仕打ちに、怒りが沸いてきたが……。


「マティアス様、諦めてはいけません。まだ試していない時間帯が沢山あるのですから」


ソフィアの前向きさに励まされる。


「そうだな。……胡桃のパンが楽しみだよ」


ソフィアがニッコリ笑顔を見せた。

昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!


次回更新タイトルは「私ではない女性と出会っていたら」です。


明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。

それでは明日も学校、お仕事、頑張りましょう‼

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