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完結●千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode2】天界大騒乱

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でもソフィアさんには感謝しているんです

「でもソフィアさんには感謝しているんです。私の腕を振りほどき、逃げてくれて本当に良かった……。もしあの時、私が過ちを起こしていたら……。私は翼を奪われ、天使の力と記憶も消され、人間として地上へ堕とされていたでしょう……。


既婚の身でありながら、妻以外の天使に手を出すなんて許されないことですから。不貞はこの天界では重罪です。


……ラファエル様は地上へ堕とされたとはいえ、大天使として記憶を保持していると聞いています。だから修行を経てまたこの天界へ戻ってくるはず。だからこそ私とラファエル様の婚姻関係は継続していると、私は思っているのですが……。


ともかくそんな私ですから、ソフィアさんと過ちをおかすわけにはいかなかったのです」


黙って聞いていたが、かなりカチンと来ていた。


「アクラシエル、お前は自分のことばかりだな。自分が重罪をおかさないで良かった、だからソフィアに感謝している。なんなんだ、その言い分は? お前がどうなろうと俺には関係ない。俺にとって大切なのはソフィアだ。そのソフィアをお前は強引に抱きしめ、ほんの一瞬でも唇に触れた。それをお前はどう思っているんだ⁉」


アクラシエルはハッとした顔になり、口を開いた。


「マティアスさん、ごめんなさい。そうでしたよね。でもソフィアさんは大丈夫ですよ。ソフィアさんは未婚だから被害者という立場になります。もし過ちが起きたとしても、しゅの力で清められ、純潔は保たれます。さらに忘却の矢を使い、その時の記憶も綺麗さっぱり忘れることができますから。今回はすべて未遂でしたが、忘却の矢で記憶を消してもらいますか?」


思わず頭を抱えた。


論点がズレているというか、感覚がズレている。


アクラシエルの理解と俺の理解は一致しないと感じた。


「アクラシエル、ソフィアにしたことは悪いことだと思っているのだな?」


「それはもちろんです」


「もう二度とソフィアにあんなことをするつもりはないんだな?」


「もちろんです」


「ついでに言っておくが、俺に、ラファエルの男の側面を見るな。正直、迷惑だ」


「……すみません。分かりました」


恐らくこれぐらいの意志相通しかはかれないと思った。


ただもう二度とはしない、ということは分かっている。


過ちをおかせば重罪になるのはアクラシエルだ。そしてそれを本人が恐れているなら、ソフィアにもう何かすることはないと思えた。


「忘却の矢の件はソフィアに確認する。お前にあんなことをされ、ソフィアすごく傷ついていた。もし忘却の矢を使わなければ、ソフィアはお前のことを避けるかもしれない。それは自業自得だ。分かるな?」


「はい……」


アクラシエルは分かりやすく項垂うなだれる。


こんなにしゅんとして項垂れるなら、ソフィアに変な気を起こさなければいいのに……。


「とりあえずソファに座れ、アクラシエル」


「は、はい」


アクラシエルは素直にソファに座った。


「アクラシエル、今日の『役割』だが、俺はソフィアがホワイト・ベーカリーでの『役割』を終える時間にあわせ、早退をしたい。それはできるか?」


「ええ。もちろん。構いませんよ」


アクラシエルが探るように、こちらを見ている。


「あの、昨日の一件でのお詫びとして、進言を一つしていいですか?」


「……なんだ?」


ジロリとにらむと、アクラシエルは肩をすくめたが、恐る恐るという感じで口を開いた。


「……ガブリエル様から悪魔狩りへ行くように言われ、神殿で婚儀を挙げられなかったんですよね?」


「そうだが」


その時のことを思い出し、少しイラっとしながら返事をする。


アクラシエルはビクビクしながらも話し続けた。


「でしたら今日早退されたその足で、神殿へ行けばいいのでは? 中途半端なその時間であれば、ガブリエル様は悪魔狩りに出ているか、大天使としての職務に追われているかと……」


……! なるほど。その手があったか。


アクラシエルがソフィアに対してしたことを、許すつもりはなかった。それでもこのアドバイスで、少なくともアクラシエルに感じていた憎しみのような感情は、かなり和らいでいる。


「それは確かに試してみる価値がある。ただ、さっき『神殿使用者特例措置証明書』のことを教えてもらった。これがあれば……」


「その証明書ではダメでしょうね」


「何⁉」


思わず怒鳴ると、アクラシエルが「ひぃ~」と小さく声を漏らす。


「すまない。その、なぜダメなんだ⁉」


謝罪の言葉に、ホッとした顔になり、アクラシエルはその理由を語った。

昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!


次回更新タイトルは「親切な天使の願望」です。


明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。

それでは明日も学校、お仕事、頑張りましょう‼

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