表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完結●千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode2】天界大騒乱

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

73/190

瞳から溢れた涙がとめどなく流れ落ちた

「悪魔狩り、お疲れ様でございました。これより地上の穢れと悪魔の不浄を落とします」


前回同様、天界に着くと、女天使が現れた。


俺から弓と矢筒を受け取り、腰の剣を外し、別の女天使に渡す。そしてそのまま腰ひもをはずし、肩の留め具を外した。


あまりにも疲れていたということと、一度同じことをされていたから、もう動揺もしない。


女天使も表情を変えず、俺の両肩を掴み、ぐっと押した。崩れるように、柔らかい芝の上に両膝をつく。女天使は俺の上半身をふわりと抱きしめ、彼女が放つ光に全身が包まれた。


鉛のように重くなっていた体が瞬時に軽くなる。

疲弊していた心が軽やかになっていく。


女天使は俺の両手を掴み立ち上がらせると、手早く新しいキトンを着せた。


「穏やかな休息を」


女天使は俺を残し、去って行く。

どうやら俺が今日最後に帰還したようだ。


街の方へ歩き出してすぐ、天使を見つけた。

回収した武器が格納されている小屋のそばで、立ちすくんでいる。


フード付きのマントを被り、俯いているその姿は……。


「ソフィア……?」


俺の言葉にその天使の体が揺れた。


ソフィアだ。


「ソフィア」


そう言って駆け寄ろうとすると、ソフィアが駆け出す。


「……?」


困惑しながらソフィアを追いかけた。

ソフィアが全力で走ろうと、それは所詮、女性の脚。

すぐに追いつき、後ろから抱きしめた。


「ソフィア、どうしたんだ⁉」


いやいやをするように、ソフィアは俺の腕の中で顔を伏せたまま身をよじる。


「ソフィア⁉」


あまりにも激しく動くので、フードが頭から落ちた。

銀色の月明りがソフィアの顔を照らす。


すぐに顔を伏せたが、ソフィアの顔には……涙の痕が残っていた。


俺のことを心配して……。


そう思ったがすぐに疑問が沸く。

心配してこぼした涙なら、なぜ俺を見て逃げるように駆け出した?


「ソフィア、説明してくれ。突然こんな態度をとられても、俺には何が何だか分からない」


するとソフィアは、意を決した表情で顔を上げる。

だが、視線をあわせると、瞳から涙がこぼれ落ちた。


「どうしたんだ、ソフィア」


堪らず、両手でソフィアの頬を包んだ。

手にソフィアの涙が触れる。


涙が次々と溢れる瞳と、しばらくの間見つめ合うことになった。


その瞳からは不安、悲しみ、困惑が感じられる。


何があった……?


胸が詰まり、俺も辛い気持ちになっていた。

苦悩に満ちた俺の表情に、ついにソフィアが口を開く。


「……マティアス様が悪魔狩りに行かれた後、私はずっと家にいました。夜になり、明かりをつけて夕ご飯を食べていたら……アクラシエルさんがきたんです……。神殿にいたはずなのに、どうして家にいるのかと聞かれ……。私はガブリエルのことを話したんです。


するとアクラシエルさんは、どうしてガブリエルはマティアス様に執着するのかと聞きました。だから私はラファエルのことを話したんです。ラファエルが無理矢理私を天界に迎えようとして、マティアス様がそれを止めようとしたことを。その結果、ラファエルが地上へ堕とされ、大天使が減ったことで、ガブリエルはマティアス様を恨んでいるということを。そうしたら……」


瞳から、溢れた涙がとめどなく流れ落ちる。


「落ち着け、ソフィア。ラファエルのことを話したら、何があったんだ?」


しばらく涙をこぼし、深呼吸をすると……。


「アクラシエルさんは私に言いました。とても冷たい声で。あなたのせいでラファエル様は地上へ堕とされ、人間として修業させられることになったのですね、と」


「……そうか。確かにアクラシエルは大天使たちを羨望の目で見ていた。千年以上天界にいるんだ。大天使を崇拝する気持ちがあったのだろう」


するとソフィアは首を振った。


昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!


次回更新タイトルは「裏切られた気分」です。


明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。

それでは明日も学校、お仕事、頑張りましょう‼

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ