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完結●千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode2】天界大騒乱

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ソフィアのことを想い……

悪魔はその習性として闇を好む。

だから地上にいる悪魔の多くが夜間に活動する。

昼間でも活動できないわけではないが、夜の方が本領発揮となる。


だから……。


早朝と言われる時間帯の悪魔は、寝ている者が多かった。


「マティアス、この建物一棟が悪魔の根城だ。酒、薬、女、男、子供を、夜になると同胞や人間に提供している。まさに悪の巣窟だ。始末してくれ」


それはハンガリーの首都ブダベストの9区と10区の境目にある、古びた建物だった。


早朝のこの時間、外をうろつく人間はまばらだ。


「これを」


アリエルは弓矢、剣に加え、鞭を渡した。


鞭……と言えばウリエル……エウリールのことを思い出す。


「さあ、震えあがりなさい、悪魔どもよ。わたくしは大天使ウリエル、一度の鞭で千の悪魔を討ち取る者ぞ」


しゅの力が込められた鞭はただの鞭ではない。大天使が振るう鞭ほどとはいかないが、俺が一度振るうだけでも、何体もの悪魔の体を引き裂くはずだ。


「マティアス、行かないのか? 怖気づいたか?」


ガブリエルが冷ややかな瞳で、俺を見る。

今日もまた俺一人に、悪魔を狩らせるつもりか。

小さくため息をつくと、俺は建物の中へ入っていった。



早朝から動いたのだから、前回のように深夜にまで及ぶことはないのでは……という考えは甘かった。


魔界と天界のいくさに直接関わっていないような、大昔から地上へ潜んでいるような悪魔も含め、ガブリエルは俺に狩るように指示した。しかも多くが寝込みを襲われる形で命を落としていく。まだ子供の悪魔を狩ることを躊躇い、見なかったことにして去ろうとしたが、俺がその場を離れた瞬間、アリエルが矢を放った。


ガブリエルもアリエルも、悪魔に対して容赦ない。

その様子はまるで、戦場にいる時と変わらない。

一日かけて、ブダペスト中の悪魔を狩った気がした。


「あの鞭を与えてもこの程度か。やはりウリエルがいないのは痛手だ」


「まさか、この鞭はウリエルのものなのか?」


俺の言葉にガブリエルは答えず、アリエルが俺の手から鞭を取り上げた。


「アリエル、帰ろう」


ガブリエルが美しい声でアリエルに囁き、二人は純白の翼を広げる。


心身が共に疲弊していた俺は、翼を広げるのさえ億劫だった。


……天界に戻りたくない。

このまま地上のどこかへ身を隠してしまえば……。


一瞬そんなことも考えた。


だが。


天界でソフィアが待っている。

早朝から悪魔狩りに出たのに、まだ帰ってこない俺を心配しながら待っているはずだ。


帰らないと。


ソフィアのことを想い、翼を広げた。

昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!


次回更新タイトルは「瞳から溢れた涙がとめどなく流れ落ちた」です。


明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。

それでは明日も学校、お仕事、頑張りましょう‼

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