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完結●千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode2】天界大騒乱

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扉の前に二人で立った

「丸一日家を開けるのに、ドアに鍵をかけないというのは……戻ってきたら部屋に別の天使が住んでいた……なんてことないよな……」


「さすがにここは天界ですから、それはないでしょう。性善説で成立している世界なので」


ソフィアがクスクスと笑った。


「まあそうだな。それで空から行くか? 歩いて行くか?」


「そうですね。こんな朝の早い時間、空を飛んだことはないので……」


「よし。では空から行こう」


お互いに翼を出し、手をつないで空へ羽ばたいた。


太陽はじわじわと上昇しているが、まだ夜明けという時間だ。


朝靄が広がり、それは雲海のようだった。そこに太陽の光が降り注ぎ、絶景を作りだしている。


丘には蛍のような光を放つ精霊の姿はなく、代わりに露がついた草に朝陽があたり、キラキラと輝いていた。


神殿が見えてくる。


「少し手前で、階段の下で降りようか」


ソフィアは頷き、二人で高度を下げた。

静かにつま先から大地に着地し、翼をしまう。


改めて深呼吸をしてからソフィアを見た。


「行こうか、ソフィア」


ソフィアの手を取り、階段をゆっくり登る。


前回はこの階段を登り切ったところで、ガブリエルに声をかけられた。


奴は神殿の屋根にいた。

チラリと屋根を見るが、そこには誰もいない。


大丈夫だ。


ソフィアの手を握る手に、思わず力がこもる。


一瞬ソフィアが俺を見たが、屋根を見ていたのだと理解し、苦笑していた。


そして。


ついに最後の一段だった。

扉の前に二人で立った。


「開けるよ、ソフィア」


「マティアス」


俺の声に被せるように聞こえてきた美しい声……。

声が聞こえてきた後方を振り返る。


そこには朝陽を浴び、全身を輝かせたガブリエルとアリエルがいた。


……どうして。


言葉にならない。


「マティアス、『役割』はどうした?」


「今日、マティアス様は『役割』をお休みしているんです。ここで婚儀を挙げるために」


俺の代わりにソフィアが答えていた。


「『役割』を休む……。つまり今日はフリーということだね」


ガブリエルが微笑を浮かべる。


ソフィアはその笑顔につられ、一瞬頬が緩んだがすぐに引き締めた。


「フリーではありません。この神殿で私と婚儀を挙げるんです!」


「それは困った。これから悪魔狩りに行かないといけないのに。一人足りないんだよ……ソフィア」


ガブリエルが優雅にソフィアを見る。


「それは困りましたね。では『天界軍騎士総本部』に行かれてはいかがですか?」


ソフィアは……信じられない強さでガブリエルと渡り合っていた。


「君は……ただ守られるだけの美しい女性の天使というわけではないようだ。ラファエルが君を気に入った理由が分かった気がするよ」


ガブリエルはそう言うと、こう畳みかけた。


「残念だが『天界軍騎士総本部』はまだ開いていない。どうだろう、ソフィア。君が来てくれれば助かるのだが」


「ガブリエル!」


俺の大声にガブリエルとアリエルが一瞬ひるんだ。

ソフィアは驚いて息を飲んでいる。


「すぐに返事をしなくて済まなかった。悪魔狩りは俺が行こう」


絶対にソフィアを悪魔狩りに行かせてはならない。


ソフィアは一度も戦場に出たことがない。武器なんて扱えない。


ガブリエルは地上の悪魔の群れの中に、ソフィアを置き去りにするに違いない。


そんなことになればソフィアは……。

悪魔たちの餌食になってしまう。

それだけはなんとしても避けないといけない。


「すまないが家で待っていてくれ」


ソフィアの手をぎゅっと握り、ゆっくり離すと、ガブリエルとアリエルの元へ向かった。


「マティアス、君が来てくれると助かるよ」


ガブリエルがことさらに美しい笑みを浮かべる。


その笑みを見ないように視線を逸らし「そうか」とだけ返事をした。


「では行こうか」


ガブリエルはアリエルを促し、翼を広げる。


先に飛び立った二人の後に続くため、翼を広げた。

昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!


次回更新タイトルは「ソフィアのことを想い……」です。


明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。

それでは明日も学校、お仕事、頑張りましょう‼

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