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完結●千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode2】天界大騒乱

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元魔王とは思えない動揺ぶり

「ど、どうした、ソフィア」


我ながら思う。

元魔王とは思えない動揺ぶりだと。


ソフィアは俺の胸のあたりのキトンをきゅっと掴み、囁いた。


「マティアス様、神殿にはいつ行くのですか?」


「……!」


「……マティアス様が私に触れる度に……私も本当は切ないんです。気持ちは同じなのに、マティアス様を止めないといけないのは……」


そんな風にソフィアが考えているとは……。


まるで悪戯っ子をなだめるような態度だから、半ば呆れられていると思っていたのに。


堪らず抱きしめキスをしていた。


「……今朝、図書館に向かう途中にガブリエルが現れたんだ」


「そうなのですか⁉」


ソフィアが驚いて顔を上げた。


「でも俺に『役割』があると分かると、あっさり引き下がった」


「……! やっぱりそうなのですね。『役割』があれば大天使は命令できない」


「ただ、俺に『役割』を与えたアクラシエルに対して、冷たい一瞥をガブリエルが与えていた。だから、少し心配なんだ。神殿へ行くには『役割』を休むことになる。アクラシエルが一人の時に、ガブリエルが変なことをしないかと。だからしばらくは普通に『役割』をこなし、大丈夫そうだったら、神殿に行きたいと思っている」


この考えを聞くと、ソフィアは優しく微笑んだ。


「マティアス様らしい判断と思います。私もその考えに同意です。アクラシエルさんにはとてもお世話になっています。ガブリエルが何かするのを見過ごすわけにはいきません」


「そうか。ソフィアがそう言ってくれると安心だよ」


思わず安堵のため息が漏れた。


「では神殿に行くまでは我慢ですよ、マティアス様」


「……」


それは……よく分かっている。

分かってはいるのだが……。


「マティアス様なら大丈夫です。なにせ千年も禁欲できたのですから。普通はそんなことできません。さすがマティアス様です!」


「いや、待ってくれ、ソフィア」


ソフィアはキョトンとした顔で俺を見る。


天使になってから、ソフィアの純粋無垢さに磨きがかかった気がする。


「千年も誓いを守ったんだ。だから逆にもう、俺もそろそろ限界なんだよ、ソフィア……」


「マティアス様……」


息を飲んだソフィアは考え込んでいた。


「お辛い気持ち、分かります……。私で何かできることはありますか?」


真顔でこんなことを言われたら堪らないな……。


「ああ、あるよ、ソフィア」


短く答えると、顎を指で持ち上げ、パールピンク色の唇を塞いだ。


キトンをきゅと握るソフィアの手を握りしめ、キスを続ける。


ソフィアから甘い吐息が漏れたところで、俺はキスを止めた。


「こうやってガス抜きさせてくれれば、しばらくは大丈夫だ」


本当は大丈夫ではなかった。でもこれで我慢するしかない。


息を弾ませたままソフィアは「分かりました」と神妙な面持ちで律儀に頷く。


その様子がいちいち可愛らしく、俺の中の熱は収まりそうになかった。


だが無理矢理、その熱に蓋をする。


「明日も『役割』がある。休もう」と。

昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!


次回更新タイトルは「心ここに在らず」です。


明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。

それでは明日も学校、お仕事、頑張りましょう‼

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