間抜けな横恋慕をした者
「ここにラファエル様の新しい絵が、飾られる予定でした……」
ため息をついているのだが、顔はホッとしているようにも見えた。
嬉しいことと悪いことが同時に起きた、そんな表情だった。
「どんな絵が飾られる予定だったんだ?」
「……ラファエル様はまだ花嫁を迎えていませんでした。でも花嫁を迎えることが決まり、その婚儀の様子を描いた絵が、ここに飾られる予定でした」
「なるほど。で、その絵はどうなった?」
アクラシエルは苦笑した。
「その花嫁はラファエル様の素晴らしさを理解できなかったようで、結婚を拒んだと聞いています。しかもその花嫁に横恋慕する者がいたのだとか。不慮の事故が起き、その間抜けな横恋慕をした者に、ラファエル様の力が直撃してしまい……。ラファエル様には非がないのに、地上へ落とされてしまったのです。ですからその絵は描かれることがありませんでした」
ラファエル様の素晴らしさが理解できない⁉
花嫁に横恋慕する者、だと⁉
間抜けな横恋慕をした者……⁉
怒りが顔に出ないように、俺は慎重に深呼吸した。
ここは天界だ。
大天使のラファエルが貶められるような形で、あの出来事が伝聞されるはずがない。どうせガブリエルあたりが、好き勝手に盛って広めた話だ。
俺は気持ちを静め、アクラシエルに尋ねた。
「……そうか。ラファエルは災難だったな。で、地上に堕ちてどうなったんだ?」
するとアクラシエルが悔しそうに唇を噛んだ。
「私はマティアスさん、あなたのような屈強な体を持っていない。だから悪魔狩りにも行けません。地上へ降りることができない。だからラファエル様が地上でどうなったかは分からないのです。ただ聞いているのは、人間となり修行を積んでいらっしゃるということだけ。いつかその修行を主がお認めになって、大天使に復権される、そう信じるばかりです」
「なるほど。主が復権を認めた時には、悟りも開けているだろう。なら今度こそ真っ当に花嫁を迎え、新しい絵がここに飾られるんじゃないか」
アクラシエルはまたも、嬉しいことと悪いことが同時に起きた、そんな表情をしていた。
「……そうですね。それより、お昼休憩に行きませんか? 天界役場に食堂があるので」
「そうだな。……食欲は特にわいていないが……」
「無理して食事を摂る必要はありませんが、休憩はとった方がいいので、とりあえず食堂へ行きましょう」
アクラシエルは翼を広げた。
俺も翼を広げ、アクラシエルと同時に飛び立った。
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次回更新タイトルは「天界の女天使は女悪魔並みに奔放⁉」です。
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