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完結●千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode2】天界大騒乱

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エウリールの秘密

翼を広げ、絵画のフロアに向かうと、アクラシエルは女天使と交代し、カウンターに座った。


カウンターを離れた女天使は、本棚に向かい歩いて行く。

あの女天使も最近天界に来たばかりなのだろうか。


そんなことを思っているうちに三十一階に着いた。

大きな柱にフロア案内があったので眺めてみる。


三十一、三十二階:展示テーマ「大天使ウリエル」

三十三、三十四階:展示テーマ「大天使ラファエル」

三十五、三十六階:展示テーマ「大天使ガブリエル」

三十七、三十八階:展示テーマ「大天使ミカエル」

三十九、四十階:展示テーマ「しゅ


なるほど。

四大天使としゅの姿が描かれているわけか。


正直、この中で見るとしたら……まあ、ウリエル……エウリールだな。


降り立ったフロアをそのまま歩いて進んだ。


いきなり愛くるしい子供姿の天使を描いた絵が、目に飛び込んでくる。


金色の巻き毛、サファイアのような瞳、ミルク色の肌にストロベリー色の唇と頬。翼はまだ小さく、あられもない姿で横たわっている。俺が知るエウリールの片鱗はどこにもない。


歩みを進めるにつれエウリールは成長し、やがてその姿は地上で初めて会ったウリエルそのものの姿となり、数々の戦場で活躍する姿が描かれていた。


三十一階に展示された絵画を見終えた俺は、三十二階へ移動する。


そこでも戦場で鞭を振るうエウリールの姿が描かれていたが……。


「これは……」


思わず声に出し、立ち止まってしまう。


どの絵画も主人公はエウリールであり、背景に描かれるのは空や山や森がほとんどで、まれに天使軍が描かれていたが、どれも同じような顔立ちで甲冑もマントも馬でさえも、すべて同一に見えた。


だが……。

この絵では……。


エウリールは美しい泉の前で片膝を地面につき、伸ばした手を泉に浸していた。もう片方の手は剣を持っているが、その切先は大地に突き立てられている。いくさの最中、思いがけず美しい泉を見つけ、乾いた喉を潤そうとした。


そんな様子をとらえた一枚だ。


その背景には森が描かれ、遠くに牡鹿の姿が見える。そしてその木々の間に横向きで描かれた人間の女性の姿があった。


チャコールグレーの美しい髪を左側で束ね、ブルーグレーの瞳は地面を見つめ、どこかオリエンタルな雰囲気を感じさせる衣装を纏っている。


憂いを漂わせるその横顔は、悲壮な美しさをたたえていた。


他の絵にもこの女性は描かれているのだろうか?


足早に他の絵も見て回った。だが、その姿が描かれているのはあの一枚だけだった。


以前、エウリールは「同士のよしみさ。おれもお前と同じだったからな」と言ったことがあった。それはつまり、エウリールは大天使だった時に人間の女性に恋をした……ということだ。そしてその女性は……あの絵画に描かれた女性なのかもしれない。


……まさかこんなところで奴の秘密を知ることになるとは……。


エウリール……ウリエル。四大天使の一人でありながら、魔王の俺と取り引きをして、一万の天使の命を救った。天界への忠義を果たしながらもその体制を嫌い、俺に手を貸し堕天使となった。魔界の滅亡と共に地上へ落ちて人間になり、だが俺を同士のよしみだと言って助けるために大天使へ復権した。だがあっさりと禁忌タブーとなる力を俺とソフィアのために使い、再び地上へ堕ちた。


人間となったエウリールは今、どうしているのだろうか……?


一瞬感傷的な気持ちになったが、あのエウリールのことだ。


もしここにスマホがあり、電話をかけたなら……。


「どうした、マティアス?」

「随分、息が荒いな。大丈夫か?」

「ああ、今、その最中でな」

「⁉ 電話していていいのか⁉」


またあの時のような会話を繰り広げるのだろうな。


思わず苦笑し、次のフロアへ移動した。



昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!


次回更新タイトルは「謎めいたラファエル」です。


明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。

それでは明日も学校、お仕事、頑張りましょう‼

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