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完結●千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode2】天界大騒乱

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奪うようにキスをして……

奪うようにキスをして、その体を強く抱きしめた。

そのまま抱き上げ、ベッドに向かう。


戸惑いながらも俺のキスに応えているうちに、ソフィアから甘い吐息がもれた。


ソフィアが着ているキトンは、上半身は両肩の部分で留められているだけだ。


だからベッドで抱き合いキスをしているだけで、それは簡単に外れてしまい……。


「マ、マティアス様、待ってください」


慌てた様子でソフィアは、ただの一枚布になりかけているキトンで胸を隠す。


「そ、その、男女の天使による交わりは、神殿で婚儀を挙げないとダメなんです! 婚姻関係を持つ前は、認められていないのです!」


「なに……?」


天界ではそんな制約があるのか⁉


……いや、地上でも貴族や王族での結婚では、貞操が求められていた時代があった。何も天界だからというわけではないのだろう。


……しかし地上でのその話はいつの時代の話だ?


「……マティアス様、怒っています……?」


ソフィアが困り切った顔で俺を見ている。


「いや、怒っていないよ。そんな制約があったのかと、思いを巡らせていただけだ」


ベッドの上で転がっていた留め具を拾い、ソフィアにキトンをまといなおすように言った。ソフィアはすぐにベッドから起き上がり、白い一枚布で自身の上半身を包む。俺は両肩の布を留め具でとめた。


「よし。これで大丈夫だ。しかし、寝る時にこれではいつ脱げるかと心配だな」


「……そうですね。イオニア式でしたらまだ脱げにくいかもしれません。私は明日、朝が早い分、終わる時間も早いので、洋服屋に行ってきます」


ソフィアが力強く宣言した。


「……天界ではキトン以外の服はないのか?」


「建物が密集するこの街の入口からこの部屋まで、一本道でつながっているんです。その道の両サイドにお店だったり住居だったりがあるのですが、私が確認した限り、洋服屋は一軒のみでした。そして見る限りキトンしかありませんでした……」


俺は思わず絶句する。


だがよくよく考えれば、天使軍が身に着けているものは一様に同じものばかりだった。悪魔はそれぞれの家紋や紋章をマントやサーコートに刺繍し、自由な服装で戦闘に赴いていた。


天使軍は統率をとるために全員同じ衣服に甲冑なのかと思ったが……。


そもそもキトンしかなかったのか……。


いや、今はそんなことはいい。

ソフィアは明日の朝が早いんだ。眠らないと。


「ソフィア、いつも通りで休もう。ソフィアは寝相がいいから脱げることはないだろう」


「……はい」


明かりを消すと、遠慮がちにソフィアが横になった。

俺はソフィアに腕枕をして、そのまま静かに抱き寄せる。


「おやすみ、ソフィア」


「おやすみなさい、マティアス様」


天界での初日が終わった。


昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!


次回更新タイトルは「そんな可愛い顔をするな」です。


明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。

それでは明日も学校、お仕事、頑張りましょう‼

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