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完結●千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode2】天界大騒乱

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今すぐベッドで抱きしめたい

「これはソフィアは知らないかもしれないが、『役割』を持たない天使もいるのだろうか? 『役割』を休む……つまりオフや休暇の概念はあるのだろうか?」


「……! それ、気になりますよね。アクラシエルさんに勿論確認しました」


「そうなのか。それで?」


「『役割』を持たない天使もいます。そういう天使は大概が、天使軍に従軍する立場の方々です。つまり騎士の皆さんですね。本人が希望すれば『役割』を担うこともできるようです。兼任という形で。騎士になることを希望する天使は『天界軍騎士総本部』に出向くそうですよ。あとは大天使によるスカウトもあるそうですが……」


ソフィアの表情が曇る。

大天使によるスカウト……。


それを断れるかどうかは分からない。だがひとまず今この時は、ソフイァには明るい顔でいてもらいたかった。だから話題を変えることにする。


「ソフイァ、休暇の方はどうなんだ?」


「あ、はい。休暇は短いものであれば、直接自分が『役割』を担っている現場の方に、明日は休みたい、今日は休みます、と言えばいいようです。ただ、休みと言ってもすることもないようで、皆さんめったに休まないようですよ。


長期の場合は『天界軍騎士総本部』に出向けば、役割交換をしてくれるそうです。交換と言っても騎士になるわけではなく、『役割を持たないという役割』と交換ですね。戦がなければ『天界軍騎士総本部』にいる騎士はただの『役割』を持たない天使ですから」


ソフィアがいろいろ確認しておいてくれたおかげで、天界について理解できてきた。


こうやって勉強熱心なところは、魔界にいようと地上にいようとソフィアは変わらない。


「……ソフィア、俺がいない間にいろいろ調べてくれてありがとう。おかげで今晩は安心して休めそうだ」


「それは良かったです」


嬉しそうに微笑むソフィアを見た瞬間、愛しいと思う気持ちが高まる。


「ソフィア、明日は『役割』があるのだろう? もう遅いし休もう」


今すぐベッドでソフィアを抱きしめたくなっていた。


「あ、はい。私は朝7時からですが、マティアス様は10時からなので、朝はゆっくり休んでくださいね」


「そうか。ソフィアは朝が早いのに遅くまで待たせてしまい、すまなかった」


その時だった。


ソフィアの碧い瞳から一粒の涙がこぼれ落ちる。


「ソフィア……?」


まるで堰を切ったように、次々と涙がこぼれ落ちていた。


「す、すみません、マティアス様」


ソフィアは俺に背を向け、涙を拭っている。


「どうした、ソフィア」


堪らず、後ろからソフィアを抱きしめていた。


……! 震えている……?


「……マティアス様、すみません。今、落ち着きますから」


「いや、泣きたい時には泣けばいい。俺は止めるつもりはない。ただ、なぜ泣いているのか、それが分からなくて心配なんだ」


いつも抱きしめる度に感じていた。


ソフィアは何事にも一生懸命で、気丈で、我慢強い。でもその体は小さく、華奢で、強く抱きしめたら壊れてしまいそうだった。そんなソフィアの細い肩に、俺はいつも重荷を背負わせていないか?


記憶を失い魔界で暮らすようになった時。すべてを失い地上に堕とされた時。


そしてこの天界へ来てからも……。


ソフィアに苦労ばかりかけてはいないだろうか?


「……マティアス様が」


「うん。俺がどうした?」


「悪魔狩りから戻って来なかったらと、さっきまでずっと心配していて」


「……!」


「明日の朝を心配できる。明日は『役割』があるからマティアス様はどこにも連れて行かれない。そう思ったら安心して、気が緩んでしまって、つい涙が……」


そんなことを言われたら、もう止まらなかった。


昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!


次回更新タイトルは「奪うようにキスをして……」です。


明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。

それでは明日も学校、お仕事、頑張りましょう‼

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