初めて知ることばかり
「はい。地上へ落とされ、いろいろ経験したこと、魔界のお城では体験できないことでとても楽しかったんです。多分、地上は難易度が高い場所だと思うんですよ。でもそこであれだけ貯金を増やせたのですから、天界ではもっとうまくやれるって。もう新しいゲームに挑戦する感覚ですよ」
ニコニコと微笑むソフィアは……本当に精神的に逞しくなっていた。
おかげで申し訳ないという気持ちも払しょくされた。
「それで持ち合わせがないことを告げたら、そのアクラシエルはどう答えたんだ?」
「はい。そこで初めて『役割』の話が出たんです。天界では自分の得意を生かしたり、自分ができることをすることで、『役割』を担うことができるそうなんです。天界に来たばかりの天使には『役割』が与えられ、同時に住まいが提供される仕組みだと理解しました」
「なるほど。それでどんな役割を与えられたんだ?」
「私は先程話した隣の建物のパンとケーキのお店『ホワイト・ベーカリー』の店番です。マティアス様は図書館の係員です。アクラシエルさんも図書館の係員の役割を担っているそうですよ」
図書館の係員……。地味だな。
「……ソフィアはそのアクラシエルに俺のことを話したのか?」
「そうですね。地上で家を借りる時は入居者数をよく確認されたので、二名いるのですが、と言ったら少し驚いていましたが『二名でも十分な広さですよ』って言われて。役割もちゃんと私とマティアス様の分を与えてくれました」
確かにこの部屋は、一人で暮らすには広すぎるように感じた……いや、魔界の城の部屋で考えたら、一人部屋にしては狭い、だろう。すっかり地上の、日本の狭い都会の部屋に慣れてしまっていた。
「それで与えられた『役割』は、ずっとこの先担うことになるのか? 俺は一生図書館の係員なのか……?」
「いえ、そこは話を聞く限り、かなり自由な感じでした。例えばやりたい『役割』を見つけたら、物々交換ならぬ、役割交換という仕組みを使って、『役割』をチェンジすることができるそうなんです。
例えば私がアクラシエルさんに『私は図書館の係員の役割を担いたいのです。役割交換をしませんか?』と尋ね、OKをもらえれば交渉成立です。翌日から私は図書館の係員、アクラシエルさんはホワイト・ベーカリーの店番です」
地上で芸能活動を始めるにあたり、俺とソフィアは田中さんと契約書を交わした。
書類関係は魔界でもあったので慣れていたが、地上のそれは細かい取り決めも多く、それなりに面倒だった。それに比べると天界は……とても緩い。
「しかしそんなに簡単に『役割』は交換できていいのか?」
「その点はマティアス様の秘書を魔界でしていた身としては気になったのですが、特に混乱や問題もなく回っているようですよ」
……こんなに緩い天界を相手に戦っていたのかと思うと、拍子抜けするしかなかった。
「そう言えば、服を手に入れるのも『役割』なんだよな?」
「あ、はい。お店が存在していますが、貨幣は存在していないんです。ではどうやって商品を手に入れるのかというと、そのお店で何か一つ『役割』を果たすと、お店の商品が手に入る仕組みです」
「……つまり、欲しい服があれば、品出しでも手伝えば服が手に入る、そんな感じか?」
「です、です」
悪魔が天界について知るには、捕えた天使に話を聞くしかない。
でも捕えた天使に聞くことは、どこの戦場に大天使が現れる予定なのか、天使軍が潜伏している場所はどこなのか、そんなことばかりだ。
だから正直天界については初めて知ることばかりで、驚くしかなかった。
昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!
この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!
次回更新タイトルは「今すぐベッドで抱きしめたい」です。
明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。
それでは明日も学校、お仕事、頑張りましょう‼
【お知らせ】イラスト追加
『ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス ―Roundabout―』
メダロット探偵物語『メダたん』などでご活躍されている
あかうめ先生の秀麗な描き下ろしイラストを
下記作品の第一話に追加しました!!
ぜひチェックしてみてください。
『伊織くんは愛されたい!~問題児と才女の初心な恋~』
https://ncode.syosetu.com/n5402hu/
除霊・浄化・調伏を行う「理の守り手」を養成する
省庁学校・星稜学園に通う2年生の藤原澪と
学校一の問題児・刀岐伊織。
授業の一環で二人はデュオを組むことになるも
イケメンで実は神童だったが超がつく天然の刀岐に振り回される澪。
怪事件に巻き込まれ、二人の距離は少しずつ縮まっていくが……。
女子が憧れるイケメンとの胸キュンシチュエーションを盛り込みました!!




