永遠の愛の誓い
ウリエルに言われた丘の上の神殿に向かい歩いていると、ソフィアの姿が見えた。
ソフィアも俺に気づいたようで、大きく手を振ると、駆け出した。
俺も駆け出した。
「マティアス様!」
「ソフィア」
俺はソフィア抱きしめた。
また、会うことができた。
もう絶対に離さない。
しばらくは無言で抱き合っていた。
それから礼拝堂で起きたことを、神殿に向かって歩きながら、ソフィアは静かに語った。
俺の姿が消え、絶望的な気持ちになったが、すぐに事態を理解し、天使の力を目覚めさせたこと。そしてすぐに天界へ向かったこと。でも天界についた瞬間に自分が何を慌ててここへ来たのか分からなくなり、途方にくれていたところでウリエルに会ったこと。そして魂に刻まれた記憶を見て、すべてを思い出し、ウリエルに言われ、ここで俺を待ち続けたことを教えてくれた。
「それでソフィア、この神殿は何なんだ?」
ソフィアの話を聞いて歩いているうちに、俺たちは神殿の前に到着していた。
「それは……そこの石碑を見てください」
ソフィアが頬をバラ色に染めて瞳を伏せた。
俺は石碑に書かれた文字を読んだ。
『ここは婚姻を決めた天使が婚儀をあげるための場所である。扉が開いていれば中に入れる。まずは沐浴を行い、身を清め、そのまま祭壇へ向かう。そこで生涯の愛を宣誓し、署名を行う。この宣誓と署名は絶対である。宣誓と署名を終えたら寝所へむかい、生涯の契りを交わすこと。この契りを持って二人の婚姻は成立となる。なお、扉は二十四時間後に開く』
ソフィアが頬染めた理由がよく分かった。
「……ソフィア」
隣にいるソフィアを見た。
ソフィアは恥ずかしそうに目を伏せていた。
「ソフィア、俺のことを見て」
俺はそう言うと、ソフィアの頬に手を添えた。
ソフィアは遠慮がちに俺を見た。
「神殿の扉は開いている。ソフィア、俺のたった一人の愛する人として、一緒にこの神殿に入ってくれるか? 俺と……永遠の愛を誓ってくれるか?」
ソフィアの瞳は潤み、でも顔は笑顔で、そして……。
「はい。私にとってもマティアス様がたった一人の愛する人です。永遠の愛をマティアス様と誓います」
「ソフィア……」
俺はソフィアを抱きしめ、優しくキスをした。
「行こう、ソフィア」
ソフィアの手をとり、俺は神殿の階段をゆっくり上った。
(第一部完)
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第一部、完結できました。
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