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完結●千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode1】千年片想い

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救済

長い廊下を進み、正面の大きな扉の前で、ウリエルは歩みを止めた。


そして扉を押した。


俺はしゃがんで中を見た。


長椅子が沢山置かれ、左右にはステンドグラスの窓、正面には十字架。


礼拝堂だ。


俺はウリエルが正面の通路を進むのにあわせ、左手の長椅子に体を隠しながら中へ入った。


「……ウリエル? 何の用だ?」


「ラファエルこそ、そこで何をしているのです? しゅの前に横たわるその美しい女性は誰なのですか?」


俺はウリエルの言葉に、顔を上げた。


祭壇に純白のドレスを着たソフィアが横たわっていた。


頬はバラ色に染まり、口を開け、肩で息をしていた。

瞳は半分ほど閉じられ、汗をかき、とても苦しそうだった。


「救済を行っている」


「救済……?」


「ああ。この女性は悪魔により、天使の力を封印されている。封印された天使の力を目覚めさせようとしているんだよ」


「……なるほど」


「それでウリエル、お前は何をしにここへ?」


「うん。報告したいものがあるのですが……」


「わたしは忙しい。報告するならさっさとしろ」


俺は祭壇に近づくために身を屈めたまま、左端の通路を進んだ。


「いえ、そこで救済を行っているなら、近づくことはできません」


ウリエルは礼拝堂の中央あたりで立ち止まっていた。


「まわりくどい。何なんだ?」


ラファエルは苛立ちを隠さずにウリエルの方へ歩いて行った。


あの苛立ち……。


ソフィアに天使の力を目覚めさせるよう説得しているのに、ソフィアがそれを拒んでいるからだろう。


「魔力を宿した生物を捕らえましたので、ラファエルに見て欲しくて……」


ウリエルがふところからロルフの耳を見せた。


立ちあがって手を伸ばせば、ソフィアに触れられるところまで俺はやって来ていた。


「な、ウリエル、この聖なる礼拝堂に、そんな穢れたものを持ち込んでいるのか⁉」


「いえ、神の力が満ちているこの場所でしたら、魔物も悪さをしないでしょう?」


「! お前、ここにはわたしの花嫁となる女性がいるんだぞ! さっさとその穢れた動物ごと、ここから出ろ!」


「ラファエル!」


俺は立ちあがって叫んだ。


ラファエルが驚いた顔で俺を見た。


「マティアス、貴様、いつの間に」


ウリエルからラファエルには二面性があると聞いていたので、もうラファエルの姿が女に見えることはなかった。俺はラファエルを男と認定した。もう男としてしか見えないはずだ。


「ソフィアは俺の女だ。勝手に人の女を奪うんじゃない」


ラファエルは俺を睨みながら声のトーンを落とした。


「……マティアス、君はソフィアが天使だと知っているのか?」


「知っている」


「天使が人間と結ばれることが、天使にとって幸せなことだと思うのか?」


「……それは個々の問題だ。その天使がそう望むなら、それが答えだ」


「なんだ、その禅問答みたいな答えは?」


「事実を言ったまでだ。ソフィアはお前と結ばれることなど願っていない。俺と結ばれることを願っている。そしてそれがソフィアにとっての幸せだ」


俺は横を向き、ソフィアを見た。


ソフィアは涙を流し、頷いた。


「……穏便に済ませようと思ったが、難しいようだな」


ラファエルが冷たい目で俺を見た。


人間に対して向ける眼差しではない。悪魔を蔑んで見る目だ。


「悪魔の封印などわたしが解く」


ラファエルがソフィアに向け手を伸ばし、ウリエルの懐からロルフとベラが飛び出した。


ラファエルの手から天使の力が放たれ、ロルフとベラはその力からソフィアを守るように前に立ちふさがった。


仔犬と子猫というその小さい姿で、ソフィアを守ろうとしていた。


「ロルフ、ベラ!」


俺は二人を抱きしめた。


その瞬間、背中にものすごい熱を感じ、目の前が真っ黒になった。


昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!


次回更新タイトルは「死後の世界」です。


明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。

それでは明日も学校、お仕事、頑張りましょう‼


【完結】『歌詠みと言霊使いのラブ&バトル』


https://ncode.syosetu.com/n7794hr/


バトルパートでは激しい戦闘もあればコミカルな戦いもあり

恋愛パートは思春期の男子らしいHな描写もあれば、甘く切ない展開もあります。

仲間との友情も描かれています。

全67話で完結済みです。一気読みにいかがでしょうか⁉

ぜひこちらの作品もよろしくお願いいたします。

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