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完結●千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode1】千年片想い

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魔王の復活を!

俺はいかにもちょっとコンビニに行きます、という感じでゆっくりマンションのエントランスホールを進んだ。案の定、マンションの敷地ぎりぎりのところにいた記者とカメラマンが姿を見せた。


その姿に気づかないふりをしてゆっくり歩き、そして立ち止まってポケットを探った。


スマホを取り出し、会話を始めた。


もう二組、カメラマンと記者が姿を現した。


スマホでの会話を続けた。


通りにバンが止まり、二人組の男性が降りてきた。


これで今この辺りにいるマスコミはすべてかな。


ゆっくりスマホを耳から離し、マンションへ戻った。


外出するかと思ったら、スマホに来た連絡で部屋に戻った、と思ったことだろう。


ソフィアとベラは無事、外へ出ることはできただろうか……。


それにしてもベラはとんでもないことを言うな。


俺はまだこの手でソフィアの胸に触れたこともないというのに……。


部屋に戻るとロルフがパソコンを操作していた。


仔犬の姿なのにロルフは器用だった。


「なあ、マティアス、ゲオルクという名前、聞いたことがあるか?」


ロルフはモニターから目を離さずに俺に尋ねた。


「……ゲオルク」


どこかで聞いた名だった。


かなり昔だ。


「ヘルマンはどうだ?」


「ヘルマン……」


この名も聞いたことがある。


……!


「思い出した。親父の代の魔王騎士団のメンバーだ。ゲオルクもヘルマンも。ゲオルクは確かルーマニア、ヘルマンは……オーストリアに潜伏していたはずだ」


「よく思い出したな、マティアス。コイツらは先代魔王が亡くなっても魔界へ戻らなかったのか?」


「いや、葬儀には顔を出していた。だがすぐに潜伏先へ戻った。二人とも純血種で親父に対しても俺に対してもとても忠実だった。ルーマニアもオーストリアもはぐれ悪魔が多い。彼らを監視する役割を二人は担っていたからな」


「なるほど~。純血主義者か。俺たち混血種にはすげー風あたりがきついんだけどな」


魔界の王家は、純血種で代々受け継がれてきていた。


そしてこの王家に習い、魔王騎士団の多くが純血種で構成されていた。


対する混血種は、人間や天使と悪魔が交わり生まれた種族だった。


俺は純血種、混血種に関わらず、能力主義で人材を登用していたが、親父は純血種至上主義だった。


「それでロルフ、なんで今さらゲオルクとヘルマンの名を口にしたんだ?」


「いや、マティアスのSNSに最近やたらと『魔王の復活を!』って書き込みがあって、投稿者の名前がゲオルクとヘルマンだったんだ。他にも魔王うんぬんの書き込みは多いけど、この二人はただひたすらこの文面を書き込んでいたからもしやと思ったんだ」


「なに?……ソフィアのSNSに書き込みはないのか?」


「ソフィアの方にはなかった」


「そうか……」


純血種であるゲオルクとヘルマンの「魔王の復活を!」という呼びかけ……。


何か嫌な予感がした。


俺はスマホを取り出すとエウリールを呼び出した。


エウリールの連絡先はエミリアを通じて手に入れていた。


しばらくの呼び出し音の後、エウリールが出た。


「どうした、マティアス?」


「随分、息が荒いな。大丈夫か?」


「ああ、今、その最中でな」


「⁉ 電話していていいのか⁉」


「そりゃあよくないさ。だがお前の電話だからな」


まさかエウリールはあの時の約束――基本的にお前のことは自由にする。だが俺が懇願した時は絶対に従え――をまだ守っているのか?


「で、用件はなんだ、マティアス?」


「ゲオルクとヘルマンの情報を掴んだら教えて欲しい」


「ゲオルクとヘルマン……先代魔王の騎士団の奴らか」


「ああ。俺のSNSに『魔王の復活を!』って書き込みをしているんだ」


「それは由々しき事態だな。分かった。すぐに調べておくよ」


「頼む」


通話を終えると、ロルフが心配そうに見上げた。


「マティアス、エウリールを動かすってよっぽどのことだと思うんだが、大丈夫か?」


「……まだ分からない。だが少なからず、このような事態が起きることは常に考えていた」


「そうか……」


そこでロルフが動きを止めた。


「どうした、ロルフ?」


「大変だ、マティアス、ソフィアとベラが何者かにさらわれた」


「なんだと⁉ まさかマスコミの奴らか?」


「今、ベラが魔力を使い、オレに連絡してきている。デパートで突然、品のいい男性に『紳士服売り場は何階ですか』と尋ねられ、ソフィアが説明をしようとしたら――」


そこでロルフは言葉を切り、俺を見た。


「魔術をかけられたらしい……」


その瞬間、目の前が真っ暗に染まった。

昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!


次回更新タイトルは「魔王騎士団」です。


明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。

それでは明日も学校、お仕事、頑張りましょう‼


【完結】『歌詠みと言霊使いのラブ&バトル』


https://ncode.syosetu.com/n7794hr/


バトルパートでは激しい戦闘もあればコミカルな戦いもあり

恋愛パートは思春期の男子らしいHな描写もあれば、甘く切ない展開もあります。

仲間との友情も描かれています。

全67話で完結済みです。一気読みにいかがでしょうか⁉

ぜひこちらの作品もよろしくお願いいたします。

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