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完結●千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode1】千年片想い

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抑えきれない感情

「え」


「手は出さない。ただ、一緒に眠りたい」


「……」


すでに明かりは消していたのでソフィアの表情は見えない。


でもきっと戸惑い、肌はバラ色に染まっているはずだ。


「もし、嫌だったら無理強いはしない。ただ、マンションに戻ったらロルフとベラもいるから……」


しばらくソフィアは固まっていたが、薄手の掛布団をめくる気配を感じた。


「ソフィア……」


俺はソフィアの体を抱き寄せた。


いつもと違うシャンプーの香り。


柔らかく、温かく、華奢なソフィアの体を感じ、気持ちが高ぶった。


それを鎮めるように俺はソフィアに囁いた。


「ソフィア、大切なことを伝えておく。天使の力は封印されているが、ソフィアの中にまだちゃんとある。封印を解けば、天使の力が使えるようになり、羽を出すこともできるようになる。


封印は俺とロルフとベラでかけたものだから、とても強固だ。大天使やそれと同等の者であればその封印を解くことができる。……つまりソフィア、君はまだ天使なんだ」


「……なぜ、その話を……?」


「理由は二つ。まず一つ目。地上に落ちてまだ日が浅い。元魔王の俺の身には何が起きてもおかしくない。俺に何かあったら、封印を解いて天界へ戻るんだ。


そして二つ目。ソフィアはまだ天使の身だから唇にキスをしたり、肉体の結びつきを持てば堕天することになる。


いつかは……堕天させることになってしまうだろう。でも今はまだ早い。……俺がソフィアに手を出さないのはそれが理由であると分かっておいてほしくて」


「……そんな」


ソフィアは小さく囁き、両腕を伸ばすと俺の首に回した。


「マティアス様のいない世界で、永遠に生きろと仰るのですか⁉」


柔らかいソフィアの胸が俺に押し付けられ、衝動的な感情が沸き起こり、俺はそれを必死に押しとどめた。


「天界へ行けばすべて忘れる。それにこれはもしもの話だ。それに――」


ソフィアの唇が俺の唇に触れそうになり、俺は慌てて顎をぐっと上に向けた。


すると俺の首筋にソフィアは何度も口づけをした。


その度にソフィアの体が揺れ、弾力のある胸が俺の体に触れた。


「ソフィア……」


堪らずに俺は声を漏らした。


ソフィアは動きを止めず、俺の鎖骨に口づけをした。


ずっと抑えていた感情が爆発し、気づくと俺はソフィアに覆いかぶさり、豊かな胸の谷間に自分の唇を押し当てていた。


俺は我にかえり、慌てて掴んでいたソフィアの手首を離した。


心臓の鼓動が速く、全身が熱くなっていた。


呼吸は乱れ、とても深呼吸ができる状態ではなかった。


それでもなんとか上半身を起こし、ソフィアの乱れた浴衣を直した。


「ごめんソフィア……」


衝動的な感情を抑えきることができなかった。


こんなこと、初めてだった。

混乱する頭の中で必死に思い出す。

唇にキスは……していない。

最後までは……もちろんしていない。


ソフィアが静かに体を起こした。


俺はまだ落ち着かない鼓動と呼吸の乱れに声が出ず、ただ腕を伸ばし、その頬に優しく触れることしかできなかった。


「……魔王を誘惑するなんて、天使失格ですね」


俺は静かにソフィアを抱き寄せた。


「……天使を堕天させないなんて、魔王失格だ」


ソフィアは困ったように微笑んだ。


「今日は我慢できた。でも明日、我慢できるかは分からない。それぐらい俺は危うい。ソフィアにちょっとでも迫られたらすぐ陥落してしまう」


俺はようやく深呼吸できるようになり、大きく息を吸ってはいた。


「地上へ落ちて一年経ったら……一生忘れられないようなキスをしよう。そして永遠を誓う愛を交わそう」


そのおでこに軽くキスをした。


「じゃあ寝よう、ソフィア」


俺は静かに身を横たえた。


ソフィアは俺の胸に身を寄せ、俺はそんなソフィアを抱きしめ、眠りに落ちた。



七姫市での三日目、俺とソフィアはロケで回った際に気になった場所や、ロケでは周りきれなかった場所に足を運び、二人きりのデートを楽しんだ。


最終日の電車では家に帰りたくなくて、二本も電車を見送ってしまった。


そしてマンションに戻るとロルフとベラは俺とソフィアの距離感の変化にすぐ気づき、結局俺はソフィアにすべて話したと打ち明けることになった。


ロルフとベラは俺とソフィアが恋人同士になったことを喜び、夜になると「オレとベラはマティアスの部屋で寝るから、二人はソフィアの部屋で寝て」とロルフに枕を渡された。


旅館の布団と違い、マンションのベッドはシングルサイズだ。


狭くて眠れないのではと思ったが、ソフィアは俺よりずっと小さく華奢だった。


俺はその小さな体を優しく抱き寄せた。


ソフィアの温かさを感じると、大切に守っていきたい、そんな気持ちになった。


俺はソフィアのおでこにキスをして、眠りについた。



昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!


突然ですが、連載タイトルを変更しました。

活動報告でつぶやいていた通り、タイトルと本文に乖離を感じていて

ようやくしっくりくるタイトルを思いつき、変更にいたりました。

驚かせてしまい、ごめんなさいです。

どうか引き続きお力添えをよろしくお願いいたします。


ということで、次回更新タイトルは「禁断の果実」です。


明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。

それでは明日も学校、お仕事、頑張りましょう‼


【完結】『歌詠みと言霊使いのラブ&バトル』


https://ncode.syosetu.com/n7794hr/


バトルパートでは激しい戦闘もあればコミカルな戦いもあり

恋愛パートは思春期の男子らしいHな描写もあれば、甘く切ない展開もあります。

仲間との友情も描かれています。

全67話で完結済みです。一気読みにいかがでしょうか⁉

ぜひこちらの作品もよろしくお願いいたします。

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