独身最後の……
翌日。
祝いの席に現れたのは、ラファエルとアクラシエル、エウリールとレイラ、そしてソフィアと俺の6人だ。まずは普通に夕食を6人でとった。レイラはラファエルとアクラシエルとは初めての対面だったので、まずは顔を合わせの意味も含め、歓談した。
だが夕食が終わり、酒とフルーツの盛り合わせが並べられたところで女天使がやってきて、レイラとソフィア、そしてなぜかアクラシエルを連れ、部屋を出て行ってしまった。
「? なんのつもりだ、エウリール?」
俺が腰を浮かしかけると、エウリールがそれを制した。
「これからは男女分かれてのパーティーの時間だ」
「なんだと!?」
「まあ、マティアス、落ち着いて」
どうやら何か知っているらしいラファエルまで、俺を落ち着かせようとした。
「マティアス、地上では独身最後となる男女、つまり結婚を控えた男性、女性、それぞれのために開かれるパーティーがあるのを知っているかい?」
ラファエルがワインの入ったグラスを手に、俺を見た。
「知らない」
「だろうな」
エウリールがラファエルの代わりに応じ、こんなことを言いだした。
「独身最後を男友達と過ごす、これを地上では『バチェラー・パーティー』と言って、まあ酒を飲み、ストリップを楽しんだり、最後にハメをはずすというわけだ」
エウリールの言葉を捕捉するように、ラファエルが口を開いた。
「それに対して、結婚を控える女性が女友達と過ごすことを『バチェロレッテ・パーティー』というんだよ。いわゆるガールズトークで盛り上がる」
「前祝ということにしたが、本当の目的は、このパーティーだ」
「な、エウリール! 俺は酒を飲んで、女の裸を楽しむようなことを、するつもりはない!」
「まあ、落ち着け、マティアス」
「そうだよ、マティアス。私達は大天使だ。さすがにそんな下品な真似は……まあ、エウリールが地上で人間として生活していた時に何をしていたかは知らないが、ともかく今は大天使の私達が、地上の人間のようなバチェラー・パーティーをするつもりはないよ」
俺はラファエルを睨んで尋ねた。
「では何をするつもりなんだ!?」
「静かに酒を飲んで、語らうだけだよ、マティアス」
ラファエルの答えに、俺は拍子抜けした。
「……ただ酒を飲むなら、皆が一緒でいいのでは?」
俺の問いにエウリールが首を振った。
「マティアス、このパーティーはお前のため、というよりソフィアのためなんだよ」
「……ソフィアの、ため……?」
エウリールは頷くと、空になっていた俺のグラスにワインを注いだ。
「神殿で宣誓をした後、レイラとベッドへ向かった」
「おい、エウリール、まさかここでそんな話を……」
「マティアス、落ち着いて」
ラファエルがワインの入ったグラスを俺に渡した。
それを受け取る間に、エウリールが話を再開した。
「その時のレイラは、うっとりした顔でおれを見て、今すぐにでも抱いてくれ、って顔をしていた」
俺が口を開こうとすると、ラファエルが手で制した。
「キスをしながらレイラの体に触れ、盛り上がったところでベッドへ運んだ。キスを続けながら、ゆっくりキトンを脱がせ、おれも服を脱いだ」
「エウリール!」
「マティアス、別にエウリールはお前にレイラとの行為をこと細かく話すつもりは……ないと思うから、聞いてあげて欲しい」
ラファエルがチラッとエウリールを見ながら、俺を制した。
「レイラもおれも、一糸まとわぬ姿でベッドで抱き合った。そうしたらレイラがこう言ったんだ。『ウリエル、私達、遂に結ばれたわね』って」
「……よかったじゃないか」
俺の言葉にエウリールは……。
「おいおい、マティアスまでレイラと同じレベルの知識なんじゃないよな!? 違うだろう、裸で抱き合って終わりなわけないだろう!」
「……」
俺が無言でいると、エウリールは話を続けた。
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