もうどうしても待てない
「……!」
皆、驚いて、声が出ない。
クリーミーブロンドの長い髪にブルーグレーの憂いを感じさせる瞳。
高い鼻にコスモス色の唇。
長身でスラリと細いこの女性は……。
「……レイラ」
エウリールがその女性に、レイラに駆け寄った。
「ウリエル、あなたなの? 本当に、ウリエルなの?」
とても美しい声だった。
レイラがエウリールに抱きついた。
「そうだよ、レイラ」
エウリールは包み込むように、レイラを抱きしめた。
「ウリエル……。会いたかったわ」
「おれもだよ、レイラ……」
「……ウリエル、あなた変わったわ。おれ、なんて使うようになったのね」
「それは……そうだな。話せば長くなる」
今にも泣き出しそうなエウリールが俺を見た。
「エウリール、俺とソフィアは庭園を散歩させてもらう」
「すまない。そしてありがとう、マティアス」
レイラの手をひき、エウリールは部屋を出て行った。
◇
レイラと再会したエウリールは置手紙を残し、そのまま二人で神殿へ向かった。そこには「もうどうしても待てない。すまない、マティアス」とだけ書かれていた。
エウリールがどれだけレイラを求めていたか。
それがよく分かるので、文句などない。
ただ、驚いたのはその後だ。
神殿から戻ると2週間、寝室からエウリールとレイラは出てこなかった。これにはさすがにあきれたが……。その期間を使い、魔界改革についてソフィアと一緒に考えることが出来た。だから照れくさそうに部屋を尋ねてきた二人を、責めることはなかった。
改めてレイラを含め、4人で食事をすると、エウリールはこんな提案をした。
「今度こそ、マティアスとソフィア。二人の番だ。神殿で二人は結ばれる。だがな、神殿で過ごしたら、間違いない。神殿を出たら、二人は寝室にこもり、一カ月は出てこないだろう。だから先にお祝いをしておきたい」
「一カ月って……、まさか、そんな」
絶句する俺に、エウリールは首をふる。
「おれだって2週間も、こもるつもりはなかった。でも……ダメだった。コントロールが効かない。おれでこうだったんだ。千年の禁欲をしていたマティアスなら、千年寝室にこもってもおかしくないぐらいだ」
千年こもるとは冗談で言っていた気もするが、実際は……。だが、前祝をしたいと言っているだけだ。好意を無下にする必要はないだろう。
「ソフィアも先にお祝いしてもらうので、異論はないか?」
「勿論ですよ、マティアス様」
こうして、神殿へ向かう前に、お祝いの席が設けられることになった。
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