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完結●千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode3】魔界大騒動

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エウリールの宮殿

「これは……」


ソフィアが思わず感嘆の声をもらした。

俺も思わず声が出そうになっている。


エウリールの後に続き、すっかり暗くなった夜空を飛んでいくと、俺達の暮らす街から三十分ほど飛んだ場所に、巨大な街があると思ったのだが……。


それは街ではなく、エウリールの宮殿だった。


「エウリール、これが宮殿、なのか!? 建物も沢山あるし、まるで……街のようだが」


尋ねずにはいられない。


「まあ、街だよな。これだけでかいと。正直、おれは日本のワンルームで満足だが、大天使ともなると、そうはいかない。この宮殿では、沢山の天使が『役割』を担い、共に暮らしている。天使に『役割』を与えるのも、大天使の役目の一つなのさ」


それにしたって広すぎる。

魔王城も相当広いと自負していたが、その比ではない。

天界と魔界の力の差を、見せつけられた感じだ。


「あれがマティアス、今晩お前がソフィアと過ごす部屋だ」


エウリールが指さす建物は、それは丘の上の神殿と同じぐらいの大きさだ。


ゆっくり、その建物の前に降り立つと……。

男女の天使がそれぞれ五名、合計十人が建物から現れた。


「彼らがマティアス、ソフィア、それぞれの世話をしてくれる。こんなことまで世話をされるのか、と思うかもしれないが、それが彼らの『役割』だ。受け入れてやってくれ」


エウリールはそう言うと、ソフィアと俺を置いて、別の建物へ歩いて行ってしまった。


「マティアス様、ソフィア様、ようこそお越しくださいました」


十名の天使に一斉に声をかけられ、建物の中へ案内されるのかと思ったら……。


すぐにソフィアと俺は、別々の建物に連れて行かれた。

その建物は浴場だったのだが……。

建物一棟が、丸々浴場になっている。

まるで地上で泊った、旅館の大浴場並みの広さだ。

この広さで、一人で入浴するのか……?

しかも悪魔狩りから戻ってきた時のように、あっという間にキトンを脱がされた。思わず「下着は自分で……」と言いかけたが、エウリールの言葉を思い出し、さられるがままに従う。よもや体まで洗われると思わず、驚くしかない。


魔界でも、昔は手取り足取り世話を焼く習慣があったが、それもすっかり廃れていた。


俺自身、幼い頃に、乳母の手で入浴させてもらった記憶しかない。


確か地上の古代ローマの公衆浴場では、こうやって身体を流してもらうのが、主流だったはず……と、気持ちを静めることにした。


ようやく天使たちから解放され、俺は広すぎる湯船に一人でつかる。


ソフィアも今頃、驚きながら湯船につかっているのだろうか。

こんなに広いなら、一緒に入りたかった……。

いや、ダメだ。

共に入浴するのは、神殿で婚儀を挙げてからだ。絶対に。


入浴を終え、体を拭くところからキトンを着るまで、すべてを『役割』を担う天使にやってもらった。そして寝室へ案内されたのだが……。


最初の建物に戻ってきた。

扉を開けてもらい、中に入ると……。

!? この建物丸々一棟が、寝室、なのか!?

どう考えても無駄に広すぎる。

ベッドのサイズも、見たことのない大きさだ。

だが、それをもってしても、スペースが有り余っている。

これだけスペースがあるのに、ベッドしかないのも不思議だ。

つまり部屋にはベッドしかないので、仕方なくベッドに座る。

……!

これは寝心地が良さそうだ。

ベッドに座った体勢のまま、上体を後ろへ倒す。

……気持ちいい。

ゆっくり目を閉じた。


ソフィアは……まだ来ない。

髪も長いし、乾かすのに時間がかかるのだろう。

このベッドに横になったら、ソフィアは寝心地の良さに驚き、喜ぶはずだ。


ソフィアの姿が瞼に浮かぶ。

ついに天界へ戻ってきた。

きっと明日にはミカエルへ報告をして、すべてから解放される。

そうなれば……。


もう明日の夜には神殿へ行ってもいい。いや、ミカエルへの報告が終わったら即、その足で神殿へ向かおう。


そんなことを考えているうちに、俺はいつの間にか眠りに落ちていた。


昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!


次回更新タイトルは「普段はキトンで隠れている場所」です。


明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。

それでは明日も勉強、お仕事、頑張りましょう!!

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