これは一体どういことだ!?
二十名の悪魔を連れ、ビルの外に出た時だった。
「これは一体どういことだ、ウリエル」
そこにはアリエルを連れたガブリエルがいた。
「ガブリエル? こんな時間にどうしたのですか?」
エウリールが悪魔たちを背に庇うようにしながら、ガブリエルに応じる。
「ボクは現在人間として地上で修行の身だが、悪魔の気配ぐらい感知できる。この数の悪魔が終結していれば、さすがに気が付く」
「そうでしたか。見ての通りですよ。ここにマティアス、ソフィアもいる。三人の天使が揃ってやることと言えば、一つしかないでしょう」
「……悪魔狩りをしている、ということか?」
ガブリエルが疑わしそうにエウリールを見る。
エウリールはイエスともノーとも答えずに、腰の鞭に手をかけた。
「マティアス、先に行け」
短く言うなり鞭を、ガブリエル達に向け振り下ろす。
もちろん、威嚇だ。
その場にいた悪魔全員に、すぐに飛ぶよう、俺は叫ぶ。
「ウリエル、これはどういうことだ!?」
ガブリエルが顔を真っ赤にして叫んでいる。
「失礼。手元が狂ったようだ」
「主に報告するぞ!」
「その必要はない」
「ラファエル!?」
「ウリエル、マティアス、ソフィアちゃん、行くがいい」
ラファエルがガブリエルに、自身の手をかざす。
淡い光にガブリエルが包まれたと思った瞬間、ガブリエルが倒れた。その体をラファエルは軽々と受け止めると、アリエルを見る。
アリエルはラファエルに見つめられたその瞬間、その場に倒れた。そしてその体を受け止めたのは、アクラシエルだった。
アクラシエルは俺達を見るとニッコリ微笑み、手を振った。
◇
先に飛び立ったオリアクス達と悪魔は、かなり上空まで進んでいた。
それは、そうだろう。
ガブリエル、ラファエル。大天使二人が、突然地上に現れたのだから。
必死に魔界へ向かって飛んでいるはずだ。
そんな悪魔たちの姿を見ながら、隣を飛ぶエウリールに尋ねる。
「どうしてラファエルが……」
「まあ、そこまでの数ではないが、まとまった数の悪魔の気配を察知した。しかもそこは魔王騎士団が終結したことのある日本だ。念のための確認で、ラファエルを主が遣わした……のかもしれない」
そう言った後、俺を見る。
「もしくは。ミカエルが、お前を助けたか」
「……俺達の動きをミカエルが感知した……?」
エウリールが頷く。
「どちらであれ、ラファエルはマティアス、お前の味方をした」
「……!」
「これからも何かあれば、ラファエルはお前を助けるだろう。ラファエルはああ見えて義理堅いからな。……なあ、マティアス、これはすごいことだぞ。俺とラファエル、二人の大天使の加護を受けられるなんて、そうないことだ。しかもマティアス、お前は元魔王だというのに」
エウリールが俺の肩をバンバン叩いた。
「やめろ、エウリール、落ちる!」
「落ちている暇はないぞ。この後は北京だ。あの国はデカい。相当の数の悪魔が、堕とされているはずだ。今晩は徹夜かもしれん」
エウリールが速度を上げ、先に行く悪魔を追いかける。
「マティアス様、エウリールの言う通りです。急ぎましょう」
ソフィアに促され、俺も速度を早めた。
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次回更新タイトルは「言葉にできない達成感」です。
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