オレ、ルル様希望
!? 髪とキトンが乱れていないか? というか、キスマークが増えていないか?
エウリールの後ろには、ドレスの乱れを気にする様子のエミリアがいる。
まさか……。
「マティアス様、ここにいる三十四名は完了です。魔界へ順次帰還してもらいましょう」
ソフィアの言葉に頷き、エウリールに尋ねた。
「奥の部屋の告解は終わっているのか?」
「確認済だ。全員シロだ」
……エミリアとよからぬことだけをしていたわけではなく、すべきことはしていたと。
まあ、エウリールらしいな。
「ではエウリール、一度この悪魔三十四名を魔界まで護衛してもらえるか?」
「よかろう」
エウリールが悪魔を連れ部屋を出て、奥の部屋からは、新たな元悪魔の人間が出てきた。
「オリアクス、ルル、頼む」
「はい」
二人は声を揃えて返事をすると、早速口づけを始める。
「エミリア、日本に堕とされていた悪魔は、これですべてか?」
「あと六名いるだけど、その五名は魔界へ戻ることを辞退したの。理由はこの地上で愛する人間ができた者、魔界より地上が気に入った者、理由は様々。それと六名のうち一人は、事故で亡くなっていたわ。リストにまとめておいたわよ」
エミリアは該当する悪魔の名前と理由をメモした紙を、俺に渡した。
「なるほど。分かった。ありがとう、エミリア。しかし、亡くなった者もいるのか……」
人間が有限の命であることを、改めて思い知る。
「ソフィア、日本にはもう少し堕とされているかと思ったが、思いの外少なかったな」
「そうですね。マティアス様の側近もいなかったので、元魔王と結託しないよう、日本にはあまり堕とさなかったのかもしれませんね」
それは一理あると思えた。
「兄上、こちらの二十名も完了です」
「よし。エウリールも間もなく戻って来るだろう。あ、ロルフとベラも頼む」
「もちろんです」
オリアクスが返事をすると、ロルフが素早く反応する。
「あ、オレ、ルル様希望」
「はあ!? ロルフ、あんた……。いいわ。私はオリアクス様にお願いするから」
「何!? ベラ、オリアクス様はマティアスにそっくりだぞ。まさかベラ、マティアスのこと……」
「ロルフ、あんた、なんてことを……。ちょ、ソフィア、違うから。あたしはマティアスにそんな感情は持っていないから。現にロルフのばかと結婚しているし」
「オリアクスはロルフを、ルルはベラを頼む」
俺は指示を出すと、ソフィアの手をひき、店の奥に向かった。
「千年以上ソフィアのことだけを求め、他の女には目もくれなかった。だからつまらないことで一喜一憂しなくていい」
「マティアス様……」
ソフィアが抱きつき、俺はその唇に、惜しみなく甘い甘いキスを落とす。
「マティアス、戻ったぞ」
エウリールのよく通る声が聞こえてきた。
ぎゅっと抱きしめ、その手を取ると、ソフィアと共に店に戻った。
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次回更新タイトルは「これは一体どういことだ!?」です。
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