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完結●千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode3】魔界大騒動

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罪の告解

翌日、というより、まだ夜が明けきらないうちに、俺達は地上へ出発した。


人目につきたくない、というのはもちろん、天使に遭遇したくない、というのも、この時間での行動につながっている。


天使はしゅから力を与えられているため、その存在が光に属している。


対する悪魔が属するのは闇。

ゆえに天使が行動するのは、明るい時間がほとんどだ。


だからこその、この時間。

魔界を抜け、地上の空気を感じ始めると、ソフィアは少しホッとした顔になっている。


「寒さがおさまったか、ソフィア?」


「はい。寒さもそうですが、呼吸も楽になりました。今さらですが、本当に自分が天使になったのだと実感しています」


「俺もだよ。寒さはそこまでではなかったが、ここにきて気づいた。魔界ではだいぶ呼吸が浅くなっていたのだと」


エウリールによる天候操作で、確かに魔界に届く神の力は、弱まっていると実感する。


その一方で、オリアクスとルル、そして執事のオソは、安堵の表情を浮かべていた。魔界に満ちる神の力から、解放されたからだろう。


「ソフィアさん、あれが話してくださった、巨大なタワーですか?」


「ええ、そうですよ、ルル様。日没から0時まではライトアップされ、とても綺麗ですよ」


「そうなのですか。夜にまた来てみたいですね……」


そんな会話を交わしているうちに、地上へ到着した。


ここは――そう、日本だ。

日本に堕とされた悪魔たちの集合場所は、もちろんエミリアの店だ。


「兄上、すごい建物ですね。本で見てはいましたが、実物を見るのは、これが初めてです」


地上へ降りること自体が初めてだったオリアクスは、巨大なビル群に感嘆している。


「地上がどんな場所なのか、この機会にじっくり見ておくといい」


俺の言葉にオリアクスは「はい!」と素直に返事をした。


「こちらです、オリアクス様、ルル様」


ソフィアに促され、二人は降下を始める。


エウリールが周囲を警戒する中、オリアクスとルルが、遂に地上に降り立った。


まだ電車も走っていない時間だ。

人の姿はほとんど見当たらない。

エミリアの店が入ったビルに、ソフィアを先頭に向かう。


俺達がビルに入るのを確認すると、エウリールもゆっくりビルに入った。


「エミリアさん、ソフィアです。開けてください」


入口のドアで、ソフィアが声をかけると……。

ゆっくり扉が開く。


「ソフィア!」


ドアを開けたのはベラで、ソフィアに抱きついた。

店の中には、三十人ほどの元悪魔の人間がいる。

カウンターから、エミリアが出てきた。


「マティアス、全員、身元は確認済よ。……悪さはしていない、と、みんな言っているけど」


そこにエウリールが入ってくる。

その瞬間。

その場にいた元悪魔の人間が凍り付いた。

そして。

突然、一人の中年男性が立ち上がる。


「す、すみません。あの、ぼ、ぼくは先日、酒に酔った勢いで、ち、近くに座っていた人間の女性の……せ、生気を吸ってしまいました。でもそれ一度限りで、猛省しています」


がくがくブルブル震え、耐えきれなかったのか、その場に座り込んだ。


「ほう。自ら申告を。その人間の女性はどうしたのですか?」


エウリールが……ウリエルがその男性に近づくと、周囲にいた元悪魔たちが一斉に席を立つ。


壁際に逃げたり、テーブルの下に隠れたり。


「は、は、い。お店の、す、スタッフに、飲み過ぎで、ぐ、具合が悪そうだと、申告し、き、救急車を呼んでもらいました」


土下座しながらその男性は答える。


「なるほど。ではその場で自分の罪を悔い、女性のことを助けようとしたのですね」


「は、はい」


するとエウリールは、その場にいた元悪魔の人間に、ゆっくりと視線を向けた。


「他にはいないですか? この男性のように、告解をしたい者は」


エウリールの澄んだサファイアブルーの瞳に見つめられると、嘘をつくことはできないようだ。


次々と手を挙げ、自身の罪の告解が始まる。

結局全員が、自分が思うなんらかの罪について告白を行った。

すべてを聞き終えたエウリールは……。

すっと自身の腰につけている鞭に、手を触れる。


その瞬間、店内の空気が凍り付いた。

昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!


次回更新タイトルは「君の帰りを待っている」です。


明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。

それでは明日も勉強、お仕事、頑張りましょう‼

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