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完結●千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode3】魔界大騒動

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書庫で気絶した時の夢が、再現されていく

夕食の席ではケイシーが、積極的に俺達に話しかけ、今日一日の進捗を、俺達から聞き出していた。


熱心に質問し、話を聞き、そしてオリアクスが見つかったことに驚く。さらに自分達の願いを叶えてくれるために、オリアクスが協力してくれると知り、感動している。


「僕達の願いを叶えてくれるのは、しゅではなく、オリアクス様なのですね。それでも、僕達は祈りを続けます。そうすれば魔界に満ちる神の力も、少しは弱まるかもしれません」


ケイシーの言葉に俺は驚き、尋ねていた。


「魔力は天使の体に毒なんじゃないのか?」


すると意外な答えが返ってきた。


「捕虜として魔界に来たばかりの時は、本当にきつかったです。でも少しずつ慣れました。……ジゼルと結婚し、結ばれてからは、本当に楽になりました。僕は多少辛くても構いません。むしろせっかくジゼルが魔界に戻っても、ここが神の力で満たされていては……。ジゼルは満足に呼吸することもできないと思うので、その方が心配です」


これが、愛の力なのかと思った。

相手が楽になるなら、自分が苦しむことを厭わない……。


「ケイシー、その件は気にするな。いざとなれば十年ぐらいなら、おれが魔界に満ちる神の力をコントロールする」


エウリールはそう言うと、豪快にワインを飲み干した。


「ウリエル様……」


「その名で呼ぶな」


「でも……」


「おれはこの姿だが、こころは堕天使なんだよ」


ケイシーは一瞬困り顔になったが、すぐ笑顔になり「分かりました」と頷いた。



手分けして食事の片づけをして部屋に戻った。


「マティアス様、すぐにお風呂の用意をしますね」


ソフィアはテキパキと動き、寝るための準備をすすめてくれる。


「タオルと寝間着は、バスルームへ置いておきました。お湯も、もうすぐたまります」


「そうか。ありがとう、ソフィア」


俺は着ていたコートを脱ごうとした。


すると。


ソフィアが俺に駆け寄り、コートを掴む俺の手を制した。


「……?」


「お仕度を手伝います」


ソフィアは小さくそう言うと、俺のコートをゆっくり脱がした。


でもそれは、支度を手伝うフットマンがするような脱がせ方ではなかった。両手を胸元に滑り込ませ、そのままコートを肩から滑り落とすようにした。だからコートはバサリと床に落ちる。


着替えを手伝うフットマンなら、こんな脱がせ方はしない。


なんだか心臓が、騒がしくなってきていた。


俺が動揺する一方で、ソフィアはウエストコートのボタンを一つずつはずし、コートの時と同じように、肩から滑らせて脱がせた。


既に床に落ちているコートに、重なるようにウエストコートが落ちる。


デジャブを覚えた。

これはまるで……。

書庫で気絶した時の夢が、再現されているようだった。

ゆっくりシャツのボタンもはずしていくと……。

ソフィアはそこで手の動きを止めた。

昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!


次回更新タイトルは「素肌に触れられるだけで……」です。


明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。

それでは明日も勉強、お仕事、頑張りましょう‼

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