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完結●千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode3】魔界大騒動

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何のために服を脱がそうとする?

空は澄み渡り、雲一つない晴天だった。

風もなく、寒くもなければ暑くもない、とても心地よい気候。


「マティアス様」


声の方を見ると、神殿の扉の前にソフィアがいた。


透けて見えるほど薄い綿モスリンのシュミーズ・ドレスは、確か水色のはずだったが……。


今見えるハイ・ウエストのそのドレスは、純白だった。

しかも頭には月桂樹の冠に白いベール。

ドレスこそ違うが、冠とベールは……。


天界図書館に飾られている、ラファエルの婚儀を描いた絵画の、アクラシエルのようだった。


ただベールは透けるような薄さなので、ソフィアの顔はちゃんと認識できる。


自分の服装を確認すると……。


シルバーホワイトのシャツに、金糸で揃いの草花柄が刺繍されている、白のウエストコートとミッドナイトブルーのコート、そして無地のミッドナイトブルーのブリーチズを履き、足元は黒革のロングブーツだった。


天界にいるのに、魔王の服装のままだ……。


ぼんやりとそんなことを思いながら、俺は神殿の階段をのぼり、ソフィアの横に立つ。


そうか。

ついに婚儀を挙げることができるのか。

手で扉を押すと……。

動かない。誰かが婚儀を挙げている最中なのか?

扉は一度閉まれば、二十四時間は開かないと言われている。


「ソフィア、扉が開かない。今日はダメなようだ」


俺の言葉にソフィアはにっこり微笑んだ。


「それでは仕方ないですね」


そう言うと自分でベールを持ち上げ、当然と言うように俺にキスをした。


「もう永遠の愛を誓っているのですから、大丈夫ですよ、マティアス様」


そしてそのまま俺に抱きついた。


「大丈夫って、ソフィア?」


尋ねる俺に答えず、ソフィアゆっくりコートを脱がせようとしていた。


なぜコートを脱がせるんだ?

コートを着ていても暑くはないのだが。

バサッと音がして、コートが大理石の床に落ちた。

ソフィアはそのままウエストコートのボタンをはずしはじめる。


「!? ソフィア、何をしているんだ?」


「マティアス様、いつものキトンを着てくださればいいのに」


「!?」


ボタンはすべてはずされ、コートと同じく床に落とされる。


「ソフィア、なぜ服を……」


今度はシャツのボタンまではずしはじめた。

さすがにこれはおかしい、と思い、手を掴んだ。


「何のために服を脱がそうとするんだ、ソフィア!?」


するとソフィアは美しい笑みを浮かべた。


「マティアス様、忘れてしまいましたか? 石碑に『寝所へむかい、生涯の契りを交わすこと。この契りを持って二人の婚姻は成立となる。』と書かれていたじゃないですか」


ソフィアは思いがけない強さで、自身の手を掴む俺の手をはずす。


「!? それはそうだが、それはこの神殿の中に入って、儀式を行ってからで……」


「もうそれは終わったではないですか、マティアス様」


「終わった? 神殿の中にも入れていないのに?」


パサリという音と共にシャツが床に落ちる。


「待ってくれ、ソフィア」


「もう待てません。マティアス様」


そう言うなりソフィアは、自身の身体を押し付けるように俺に抱きついた。


肌で直接感じるソフィアの体の温かさ、特にマシュマロのような柔らかさの胸に、抑えがたい感情が喚起される。


「千年は長過ぎました」


ソフィアはそう言うとそのまま俺に体重を預けた。

!?

その瞬間、俺は階段を踏み外し、ソフィアを胸の中に抱きかかえたまま、階段を転げ落ち……。


「マティアス様!」


「マティアス様!」


「マティアス様!」


目を開けると、俺を覗き込むソフィアの碧い瞳と目が合った。


月桂樹の冠とベールは……ない。

ドレスは……水色だ。

というか、薄暗いし、ここは――。

後頭部がじんわりと重い。


思わず手を動かし、触れると、そこにたん瘤ができていることを確認した。


うん? 濡れたタオルが添えられている?


「あ、兄上、目覚めましたか!?」


その声は――。

俺は声の方を見て驚いていた。

そこに、オリアクスがいた。

昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!


次回更新タイトルは「ソフィアが襲われている?」です。


明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。

それでは明日も勉強、お仕事、頑張りましょう‼

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