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完結●千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode3】魔界大騒動

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逃れようとするソフィアの動きを封じ……

書庫は、鍵と俺の名乗りで簡単に開いた。

開いたはいいが、中は当然真っ暗。

壁に沿って設置されているランプに、順に火をつけていく。


「マティアス様、こちらの書庫、過去にいらしたことは?」


「ある……はずだが、俺の記憶とは違っているような……」


書庫、となっているが、本より巻物のたぐいの方が圧倒的に多い。


だから図書館にあるような背の高い棚ではなく、三段ほどの高さの棚がいくつも置かれていたのだが。その位置が、俺の記憶とは微妙に違っているように感じる。


それに……。

何だろう。

ランプの明かりはすべて灯したのに、闇が深い……。

俺が天使なのだから仕方がないのかもしれない。

そしてここが太陽の光が一切届かない地下だからかもしれない。


とにかく違和感を覚えていた。


「あ、ここにも目録がありますね」


そう言ってソフィアが通路を進んだその瞬間。


「……!」


躓き、転びそうになったソフィアの腕を引っ張り、自分の胸の中に庇った。


そしてそのまま、背中から床に倒れこむ。


「マティアス様、すみません! 大丈夫ですか!?」


ソフィアはすぐに、体を起こそうとする。

こんな体勢になるのは、初めてのことだった。

ベッドではいつも逆の体勢だ。


ソフィアがベッドに横になり、俺がその体を覆うようにして、キスをしたり抱きしめたりをしていた。

でも今、俺が下になり、ソフィアは上から俺を覗き込んでいる。


胸元が大きく開いたドレスからは、どうしても魅惑的な谷間が見えてしまっている。


もう衝動的にその体を抱き寄せていた。

マシュマロのようなとろける感触に、俺の心臓は激しく反応する。


と同時に何かがさらに俺を突き動かす。

それに合わせたかのように、呼吸が急速に荒くなり、全身でソフィアを求めてしまう。


「マ、マティアス様、落ち着いてください!」


懸命に逃れようとするソフィアの動きを封じ、その首筋に唇を押し当てていた。


「マティアス様、ダメです!」


ソフィアが力任せで身をよじる。

もつれあうように動いた結果、ソフィアが床に横たわり、俺が覆いかぶさる、いつもの体勢になった。


泣きそうなソフィアの顔を見て、脳の中でもやもや渦巻く何かが、霧のように消えていく。


その瞬間、俺は我に返ったのだが。

ソフィアの瞳が大きく見開かれ、さらに口も大きく開いて何かを叫び、腕が伸ばされるのが、スローモーションのように見える。


と同時に後頭部に鈍い痛みを感じ、俺は意識を失った。

昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!


次回更新タイトルは「何のために服を脱がそうとする?」です。


明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。

それでは明日も勉強、お仕事、頑張りましょう‼

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