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完結●千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode3】魔界大騒動

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時が巻き戻ったかのように

「ありました!」


執務室に着くと、ソフィアは机の一番上の引き出しを開け、書庫の鍵を取り出した。


「これで確認できるな」


「はい」


そう言ってから、二人で改めて部屋を見渡した。

執務室は、あの日から時が止まっていた。


床には乱雑に書類が散らばり、机には読みかけの書類もそのままで置かれている。


棚は王冠や王印などを差し押さえるためだったのだろう。


乱雑に荒らされている。


執務室から続く俺の寝室のドアは開いていたが、中はそこまで荒らされていなかった。


クローゼットのドアが中途半端に開き、枕元に置いていた剣がなくなっていて、甲冑がなくなり、トルソーが倒れているぐらいだ。


「ソフィアの部屋はどうだ?」


二人でソフィアの部屋に向かうと……。

元々ソフィアの部屋は、隠し部屋だったものだ。


魔王を取り押さえた天使軍は、執務室と寝室から王の証となるものを押収できたので、隠し扉には目もくれなかったようだ。


ソフィアの部屋は開けられた形跡もなく、そして部屋の中は完全に時が止まっていた。


「あっ」


小さく声をあげると、ソフィアはサイドテーブルに置かれたノートブックを慌てて閉じた。


「ソフィア、何か思い出の品があるなら持ち帰るか? 宝石とかいろいろあるだろう?」


「宝石は……マティアス様から頂いたものはあの時に身に着けていましたし、他は今となっては……。これだけ、天界に持ち帰ろうと思います」


「……日記か?」


頷くソフィアの頬がバラ色に染まる。

なんとなく、だが、その日記には俺のことも書かれているのだろうと思った。


日記なんて極めて私的なもの。

見せてくれなんて無粋なことを言うつもりはなかった。


だから。


「ソフィア、せっかくだからドレスを着て見ないか? 俺も着替えようと思う」


俺の提案に、ソフィアの目が輝いた。

ソフィアはそのまま自分の部屋に残り、俺は寝室へ向かう。

クローゼットを開け、シルバーホワイトのシャツを取り出した。


合わせるのは、金糸で草花柄が刺繍されている、白のウエストコートとミッドナイトブルーのコート。そしてボトムは無地のミッドナイトブルーのブリーチズ。


黒革のロングブーツを合わせることにした。


姿見に映る自分の姿は、なんだか不思議だった。

衣装は魔王時代に着慣れたものだ。

でも今、俺は金髪に碧眼で肌の色も白い天使だ。

ソフィアはこの姿を見てどう思うのだろう。

とりあえず執務室に戻り、座り慣れた椅子に座り、机に向かってみる。


「……マティアス様」


この姿を見たソフィアは、驚きの表情に変わったが、俺は俺でソフィアの姿に驚いていた。

ソフィアは、ハイ・ウエストのシュミーズ・ドレスを着ている。


胸から下がストンとしている分、大きく開いた胸元と、その膨らみに自然と目が向かってしまう。しかも綺麗な曲線を描く胸元を包み込むのは、透けて見えるほど薄い水色の綿モスリン。裾と袖には金糸で草花模様が刺繍されている。


長い髪は簡単にお団子上にまとめられ、首元にはレースのようなパールのネックレス。


こんなドレス姿のソフィアを見るのは、初めてだった。


「ソフィア、そんなドレスを持っていたんだな……」


ソフィアが嬉しそうに微笑む。


「マティアス様が、初夏にいつも開催していたガーデンパーティーの時に着ようと思い、ずっと前から用意していたのですが……。天使軍のおかげでパーティーはなくなり、着る機会を逸してしまったんです」


ソフィアはそう言った後、こう続けた。


「部屋は荒れていますが、ここは執務室で。マティアス様はいつもの服なのに、でもお姿は魔王ではなく天使で……。なんだか不思議です」


「……ソフィア、いつもと同じように、書類を持ってきてくれるか」


一瞬戸惑ったソフィアだったが、すぐそばの床に落ちる書類を数枚手に取ると、ゆっくりこちらへと歩み寄った。

昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!


次回更新タイトルは「この部屋で何度も抱きたいと思った」です。


明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。

それでは明日も勉強、お仕事、頑張りましょう‼

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