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完結●千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode3】魔界大騒動

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俺のそばを離れたくない、のか?

「俺は鍵を取りに行ってくる」


そう言って王宮図書館の建物から出ようとすると……。


「……ソフィア、どうした?」


「あ、その……鍵が本当にそこにあるか不安なので……。一緒について行きます」


「そうか」


鍵は間違いなく、机のその引き出しにあるはずだ。

……俺のそばを離れたくない、のか?

そう思うと自然と頬が緩む。


いつも城でそうしていたように、ソフィアは俺の一歩後ろを歩き出す。


もう、魔王と秘書ではないのに。


クスリと笑うと、歩く速度を落とし、ソフイァの横に並んだ。そしてその瞬間にその手を握った。

するとソフィアの頬はバラ色に染まり、驚いた顔でこちらを見上げた。


「ソフィアはもう、俺の秘書じゃないんだから」


首筋や耳までバラ色になり、そしてその顔は嬉しそうな表情に変わっていく。


「……なんだか嬉しそうだな」


優しく尋ねると、ソフィアは微笑んだ。


「それはマティアス様、夢が叶ったのだから当然です」


「夢?」


「このお城にいた時は、いつも一歩後ろから、マティアス様の背中を見て歩いていたんです。いつかこの横に並んで歩けたら、手をつなげたら、ってずっと夢見ていたんですから」


思わず立ち止まっていた。


「そんなことを、ずっと考えていたのか?」


「す、すみません。秘書という立場でとんでもないですよね、私……」


「あやまる必要なんてないだろう、ソフィア」


その体を抱き寄せ、やるせない気持ちになる。

この城で、信じられないほどの長い時を過ごした。

そしてお互い好きという気持ちを持っていたのに。


「ソフィア、すまなかった。立場上、ソフィアが俺に気持ちを伝えるなんて無理だった。俺がもっと早く想いを口にしていれば……」


「……マティアス様、エウリールが昨日、言っていたじゃないですか。もしマティアス様が魔王だった時に結ばれていても、天界から邪魔されると」


確かにエウリールは……「魔界の滅びはマティアスの言う通り、避けられなかっただろう。そして天界は魔界と永続的な和平を結ぶつもりなんて、これっぽっちもなかったからな。そうなれば、王と王妃を地上へ堕とす時は、当然離れ離れにしたはずだ。しかも二人の再会を天界は望まないだろうから、徹底した監視と妨害がなされただろうな。もしかすると地上へ堕としてから、忘却の矢を使われたかもしれない」……そう言っていた。


結果的にこの城にいた時に、ソフィアに思いを打ち明け、婚姻関係を結ばなかったのは……正解だったのだろう。


そうだとしても。


「ソフィア、昨日と同じだ。もしまた城にくる機会があった時、魔王と秘書ではない二人でここに来たと思いだせるようにしよう」


「マティアス様……」


ここは王宮図書館に行く時には必ず通る廊下だ。

壁には春の城の景色を描いた絵画が飾られ、窓からは満開になったダリアが見えている。


柔らかい陽が窓から差し込み、俺達二人を照らしていた。

ゆっくりソフィアにキスをした。

昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!


次回更新タイトルは「時が巻き戻ったかのように」です。


明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。

それでは明日も勉強、お仕事、頑張りましょう‼

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