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完結●千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode3】魔界大騒動

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キスの話

城から戻ると夕食となった。


昼間に宴をしていたので、夕食は落ち着いた雰囲気の中、俺達三人とケイシーで摂ることになった。ただワインは当たり前のように用意され、それは有難くいただいた。


程よく酔いが回った状態で部屋に戻る。


「マティアス様、オリアクス様が言わば救世主となるわけですが、オリアクス様の居場所、分かりませんよね?」


ソファで寛ぐ俺のために、ソフィアはコーヒーを用意してくれていた。


「そうだな。オリアクスを守るため、行き先を聞かず、地上へ向かわせたからな……」


ソフィアが入れたてのコーヒーを、ソファの前のテーブルに置く。


「オリアクス様が地上へ避難するとなった時、王宮図書館の本を、何冊かお持ちになったんです。何せオリアクス様は地上へ行かれるのは初めてだったので、不安だったのでしょうね。持ち出した本の中に、行き先につながるような本があるかもしれません。明日は王宮図書館へ行ってみませんか?」


コーヒーを飲んでいた手を止め、その案に賛同する。


「そうだな。行ってみよう。……あとはオリアクスが協力してくれるかどうかだ」


ソフィアは即答する。


「オリアクス様は、マティアス様のことをとても慕っていたので、必ずや協力してくれると思いますよ」


「だといいが……。しかし物凄い数だからな。想像すると唇が乾燥しそうだ……」


「……‼ それは確かに。でも毎日少しずつなら……」


綺麗な桜色の爪をした指で、ソフィアが自身の唇に触れる。


ただ、それだけなのに、無性にその唇に触れたくなってしまう。


「? どうしました、マティアス様」


コーヒーを飲もうと、椅子に座ったばかりのソフィアの横に立ち、身を屈める。


「……うん。キスの話をしていたから」


ソフィアの顎を持ち上げ、パールピンクの唇にキスを落とす。


その一回のキスで、我慢するつもりだった。でもソフィアの手は、俺のキトンをきゅっと掴んだまま離さない。さらに唇を離したが、その瞳はまだ閉じられている。


「……!」


ソフィアがキスを求めていると分かり、胸が高鳴る。


気づけば二度、三度と唇を重ね、それでは収まらず、さらに深いキスを始めていた。


座るソフィアを立ち上がらせ、背中に腕を回して抱き寄せる。後頭部を支えるようにし、さらに激しいキスへと向かっていく。


空気を求め、唇を離した瞬間に、ソフィアが息を弾ませながら「コーヒー、冷めちゃいますね」と囁いた。


その声、その表情はあまりにも可愛らしく、その体をぎゅっと抱きしめる。


「せっかくソフィアがいれてくれたコーヒーだ。ちゃんと飲もう」


ソフィアは嬉しそうに「はい」と返事をして、俺たちはそれぞれソファと椅子に腰をおろす。そしてコーヒーを飲みながら、オリアクスとの思い出を語った。



唇に何か触れたような気がして目が覚めた。

目の前に驚いた顔のソフィアが見える。


「マ、マティアス様、おはようございます」


ソフィアが慌てて離れた。

その瞬間。

寸でのところでソフィアを抱きとめた。

俺たちが寝ていたのは、シングルサイズのベッド。

アンティーク家具のそのベッドは、地上のシングルサイズのベッドよりも、さらに少しサイズが小さい。それでもソフィアが華奢だったので、寝ている分には問題なかった。だが今のように慌てて動くと……。


「あ~、心臓が止まりそうでした。ベッドから落ちたことないので、焦りました。マティアス様、ありがとうございます」


慌てて動くと、ベッドから簡単に落ちてしまいそうになるサイズだった。


「うん。大きいサイズのベッドではないからな。落ちないようにしないと」


そう言いながら、さらにソフィアを抱き寄せる。


「……マティアス様」


ソフィアが甘えるように身を寄せる。

その可愛らしさで、瞬時に骨抜きにされてしまう。

もう今日は一日ここでソフィアを抱きしめて過ごそう。

ぎゅっとソフィアを抱きしめ、動かないでいると……。


「そろそろ起きた方がいいですよね……?」


ソフィアが探るように囁く。


「ソフィアはもう起きたいか?」


「……!」


戸惑いながらソフィアは……。


「……ずっとマティアス様の胸の中にいたいです。どこにも行きたくないです」


真面目なソフィアがそんなことを言うと思わず、驚きと嬉しさで気持ちが高まっていく。


「俺も同じ気持ちだ。いつだってソフィアを離したくないけど、今日は……いや、特に今は……」


ソフィアの頬をそっと包み込み、自分の方に向ける。


「愛しい気持ちがこみ上げて、止まらなくなっている」


そのままキスをした。


「おーい、マティアス、起きているか!」


エウリールの声と、ドアをノックする音が同時に聞こえた。


……そうだよな。たいがい邪魔がいつも入るものだ。


名残惜しい気持ちを抱えたまま、ベッドから起き上がると、ドアに向かった。

昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!


次回更新タイトルは「王宮図書館」です。


明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。

それでは明日も勉強、お仕事、頑張りましょう‼

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