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完結●千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode3】魔界大騒動

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なぜ俺に?

その一方で、一人一人の天使の祈りには、真摯な想いが込められている。


例えばケイシーであれば、善良な悪魔……それは彼の妻となったジゼルのことだろう。捕虜となった天使に、ジゼルは尽くしていた。それは俺も報告書で確認している。


ただ、ケイシーはジゼルと結ばれることで天使としての力を失った。


でもそれはケイシーが望んだことだ。ジゼルがケイシーを誘惑したわけではない。だからジゼルは罪をおかしたとは、言い切れないはずだ。何より本来はすべき裁判もせず、一律で悪魔を処分した。


つまり、天界にも後ろめいたところがあるのだから、すべてをルールにのっとって厳密に、とはできないはずだ。


もしケイシー達の祈りに応えるなら、人間になった悪魔を元に戻す必要がある。


人間を悪魔にできるのは……当然、悪魔だ。

しかもただの悪魔ではダメだ。

純血種の悪魔のみができることだ。


しかし純血種の悪魔が人間を悪魔にするとなると、その人間を堕落させる必要がある。つまりその人間と、肉体的な交わりを持つということだ。でもこれは非現実的だろう。ジゼルが純血種の悪魔と交わった上で悪魔に戻るなど、ケイシーが許容できるわけがない。


となるともう答えは一つしかない。


口づけ一つで人間を堕落させることができるのは――純血種の、魔王の血筋をひく悪魔だけだ。


つまりそれは俺だった。

そう「だった」だ。

もう俺は魔王ではない。

それはしゅもミカエルも分かっているはずだ。

けれど奴らは俺をここに向かわせた。


今一度頭を整理する。


ミカエルは、感知した出来事で対応した方がいいと思う件があった時、騎士を派遣して状況を確認する。今回はケイシー達の祈りを感知した。約3万の天使の祈りだ。しかも毎日祈っている。ならば祈りの内容も既に把握しているはずだ。


その上で、俺をここへ向かわせた。

俺を向かわせた理由、それは……。


いくら清められ、神の力が満ちても、魔界へ行きたがる天使はいない。


だが俺なら……そんな抵抗感はない。そして俺は『天界軍騎士総本部』で、騎士として登録を行っていた。つまりミカエルが動かせる、騎士という立場になっていた。


さらに俺なら、ケイシー達の祈りに応えられると考えている。

なぜだ? 俺は天使なのに。


「マティアス様」


ソフィアの声に、思考は中断される。


「どうした、ソフィア?」


ソフィアの方を見ようとして、肩に寄りかかる頭に気づく。


「!」


酔いつぶれたらしいケイシーが、肩にもたれ目を閉じていた。


いつの間に?

俺が真剣に考え事をしている間に、酔いつぶれたのだろう。

そっとケイシーの体を揺する。


ケイシーはハッとして目を覚まし、俺に寄りかかっていることに気づき、慌てて体を起こす。


「す、すみません、マティアス様」


「いや、気にしないでくれ。それより、もう三時間近く宴が続いている。ここで一度締めた方がいいのでは?」


ケイシーは「そうですね」と頷き、グラスの水を飲んだ。

ソフィアの方を見ると、安心した顔をしている。


ケイシーが俺に寄りかかって眠っていて、俺は俺で真剣な顔で考え事をしていたから、ソフィアは心配して声をかけてくれたようだった。


「宴もたけなわですが、そろそろお開きにしたいと思います」


視線をソフィアからケイシーに戻した。

昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!


次回更新タイトルは「同じ部屋でいい?」です。


明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。

それでは明日も勉強、お仕事、頑張りましょう‼

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