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完結●千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode3】魔界大騒動

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穢れを知らない純粋無垢な心

「……なんで、とか、どうして、と考えても、起きた出来事は戻せなかった。おれにできることは、レイラの魂がこの天界にもう一度戻るのを待つことだけだ。それで待ち続けているうちに、だんだん天界のいろいろなことが気になってきてな。気づけばすっかり異端児のウリエル様だ。


しかもあれだ。レイラが無垢過ぎたことへの反動で、おれは奔放になり過ぎてしまった。なんだろうな。おれはどこかでレイラに示したかったんだろう。これだけ奔放に生きたおれが大天使なんだから、未遂で済んだことにそこまで悩むな、と」


辛気臭い顔をするな、と前置きされていた。


ここで真面目な返しをされることを、エウリールは望んでいない。


だから軽口を叩いた。


「だからってエウリール、やり過ぎだろう? 大天使のくせに、一体何人の女性と関係を持ったんだ? それにお前、どういうことなんだ? 天界でもそんなことを……」


「おいおい、マティアス、天界ここで奔放なことは無理だ。もしそんなことしていたら、おれは今ここにいないだろうが。アンジェリカとはギリギリまでしか楽しんでないさ」


「な……お前、ギリギリって……」


だが俺だってソフィアとはギリギリを楽しんでいる。

でもキトンを脱いだ状態で……そんなの無理だろう?

どうしてエウリールはそんなことができている?

……気になる。なんなら教えて欲しい。

だがそんなこと、口が裂けても頼めない。


「……マティアス、お前、ギリギリまで楽しむ方法を知りたいか? おれは教えても構わないぜ。ただ、今は朝だからな。これは酒でも飲みながら話すことだ」


本当は知りたいが……。


「必要ない。余計なお世話だ。それより、あのフックはレイラがつけたのか?」

エウリールはその時のことを思い出したのか、優しい笑みをこぼした。


「そうだよ。神殿で婚儀を挙げた後、おれは自分の住まいでレイラと暮らすつもりだったが、レイラはここを気に入っていた。だから婚儀の後も、ここに住み続けたいと言った。それならちゃんと二人の家を建てようとなって、家の建設は進めていた。でもまあおれが婚儀を急いだから家が間に合わず、しばらくは宿の部屋が仮住まいになりそうだった。だからレイラがあのフックをつけたんだよ。わざわざ自分で手作りして」


「……つまりソフィアと俺は、お前の愛の巣になるはずの部屋に泊ったのか……」


エウリールが吹き出して笑う。


「ああ、そうだな」


「まったくふざけた真似を。……レイラの魂がいつ戻るのか、分からないのか?」


「それは分からんな。それこそしゅの御心のままに、だからな」


レイラはいつ戻るか分からない。

エウリールはただ待つしかできない。

その苦しみは……相当なものだ。


それに比べれば、俺の禁欲生活千年なんて……。


婚儀を何度か邪魔されたぐらいで怒るのは……いや、頭に来ることに違いはない。


でもまあ、エウリールに比べたら小さなことだ。

少なくとも俺のそばにソフィアはずっといたわけで……。


ソフィア……。


……ソフィアを抱かないのかと、エウリールは何度もはっぱをかけた。だがその理由が、分かった気がする。


無垢過ぎたレイラとソフィアは重なる部分がある。

穢れを知らない純粋無垢な心。


何か起こる前に早く抱いて、自分のものにしておけ――そんな思いも、あったのかもしれない。


エウリールに言われずとも、ソフィアとは一日も早く婚儀を挙げたいと思うし、抱きたいと感じている。


でもその前に。

大天使ミカエルの命令。

魔界で何が起きているかを確認する。

もちろん、それはやってやろう。

その上で何かプラスアルファをして……。

婚儀を中断させた報いは、ミカエルにとらせないとな。


「そろそろ動き始めるか、エウリール?」


「そうだな。朝食にでも行こう」


エウリールと俺は、それぞれ部屋に戻った。

昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!


次回更新タイトルは「なぜ戻らない?」です。


明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。

それでは明日も勉強、お仕事、頑張りましょう‼

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