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完結●千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode2】天界大騒乱

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一件落着

ハッとした表情の小笠原久光が、こちらを見て、口を開いた。


「マティアス、お前はさっき、ガブリエルの嫁、と言ったな? 大天使なのに……結婚しているのか⁉」


「……アクラシエル、大天使の婚姻の件は、地上では公になっていないのか?」


アクラシエルは頬を赤く染めて答える。


「そうですね。人間は大天使を高潔なものと思っているので、その幻想を壊さないため、秘匿されているのかもしれません」


「なるほど。小笠原久光、天界にも秘め事はあるということだ。大天使の件は、お前とそこの式神の胸の内に留めておいてくれ」


小笠原久光がニヒルな笑みを浮かべた。


「なるほど。世界を揺るがす真実だ。ぼくが大天使に嫁がいると主張したところで、極東のガキが、キャンキャン吠えているとしか思われないだろう。だが、一人の人間として実に興味深い事実を知ることができたよ」


「……マティアス様、アリエルは……どうなったのでしょうか? しゅの白い炎に焼かれたのでしょうか……?」


ようやく落ち着いたソフィアが、ゆっくり体を離しながら、俺を見る。


「ソフィアさん、それはないと思いますよ。アリエル様はガブリエル様と共にありました。その身には、ガブリエルによる加護が与えられています。そして二人は正式な婚姻関係を持っており、その立場は等しいもの。恐らくアリエル様もまた、ガブリエル様同様の裁きが、しゅによって下されたと思います」


アクラシエルが俺に代わって答えてくれた。


「なるほど……。では二人とも地上に人間として堕とされ、修行の身に……」


「そうだと思います」


ソフィアの問いかけにアクラシエルは頷く。


「しかしphantomとMisfitミスフィトが急にいなくなって、関係者は混乱だろうな。いやエウリールのことだ。もう手を回しているか」


俺がそう言ったまさにその時。


「ふふ。マティアス、あなたは相変わらず勘が鋭いですね。人間が混乱しないよう、これから調整するつもりです」


「エウリール!」


ソフィアと俺は同時に叫んだ。


「残念ながらもうウリエルですよ、マティアス」


エウリール……ウリエルは微笑を浮かべる。


「……これがウリエルなのか」


小笠原久光が眩しそうにウリエルを見ている。

大天使の姿を視認できているのか……?

見えている、のだろう。

極東の陰陽師。忘れることができなさそうだ。


「ああ、あなたは日本の最強エクソシストの小笠原久光ですね。……どうしましょうか。あなたとそこの式神の記憶」


「おいおい、こんな奇跡を目撃させておいて、それを消すなんて言わないでくれよ。ぼくもここにいる二人も口は堅い。何も誰にも話さないよ。ちゃんと墓場まで持っていく」


小笠原久光の言葉にウリエルは……。


「ふふ。よろしいでしょう。その言葉を違えたとしても、わたくしの力で簡単に修正できますから」


これにはさすがの小笠原久光も、ぐうの音も出ないようだ。


「ではわたくしはこれから後処理をしますから。マティアス達は天界へ戻るといいでしょう」


ウリエルは俺の肩に手を置くと、耳元に顔を近づけた。


「地上での一件が片付いたらすぐに神殿へ連れて行ってやる。だからあと少し我慢しろ」


そう囁くと俺から離れ、その瞬間に姿が消えた。


「ソフィア、アクラシエル、一度神の家に戻り、着替えをしたら、天界へ戻ろう」


ソフィアとアクラシエルが頷く。

同時に三人とも翼を広げた。

それを見た小笠原久光は目を細める。


「美しいな。本当に……」


俺は小笠原久光に手を差し出す。


「小笠原久光、エミリアを解放してくれてありがとう。何より、悪魔に対するお前のスタンスはとても気に入った。これからも道を外す悪魔がいたら、調伏して式神にしてやってくれ。天使に狩られるよりよっぽどいい」


小笠原久光と握手を交わすと、彼は初めて笑顔を見せた。


「ああ、分かった。だが、ぼくが調伏するような悪さを悪魔がしないことを願うよ。……エミリアもせっかくお前に助けられたんだ。二度と人間には、悪さはしないだろう」


チラッと視線を送られたエミリアは「分かっているわよ」とばかりに頷く。そして黒い羽を広げた。


「じゃあな、小笠原久光」


「ああ、マティアス」


この言葉を合図に手を離し、俺たちは神の家に向け飛び立った。


エミリアもまた、店に、皆の所へ向かい移動を開始する。


小笠原久光は手を振ることもなく、無言で空を見上げ、俺たちを見送った。

昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!


次回更新タイトルは「帰りましょう、天界へ」です。


明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。

年末年始のお休み・冬休み、皆さんはいつまででしょうか。

明日からお仕事の方、学校の方は、気持ちも新たに頑張りましょう~!

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