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完結●千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode2】天界大騒乱

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今日はエイプリルフールじゃないよな?

「残念なことに天界と魔界の争いは集結した。魔界の完全敗北だよ。そして俺がそのラスト魔王だ。翼と魔力を奪われ、地上へ堕とされ、ただの人間になった。そして紆余曲折あって、そこの大天使ラファエルの力が直撃して死んだ。だが人間の俺は善良だったからな。今はこうして天使をやっている。


俺がここにこうしている理由、それはただエミリアを助けたいからだ。エミリアは俺が地上に堕ちた時に世話になった悪魔だ。無下にはしたくない。何より、エミリアには仲間の悪魔がいる。そいつらが会いたがっているんだよ、エミリアに。


それにエミリアは基本的に悪魔相手の商売をしていて、人間には関わらない。たまたまハロウィンのあの日は、酒を飲み過ぎて粗相そそうをした。だが引き渡してもらえれば、俺から強く注意しておく。二度はないと。次に調伏されても助けないと。


だからエミリアを、彼女の友人の元に帰してやってくれないか?」


小笠原久光は俺を見て、そしてラファエルを見る。

バチカンを知っているぐらいだ。

当然大天使のことも、ラファエルのことも知っているはずだ。驚いて当然だった。


「……大天使、だと? phantomの正体がラファエルだと? そしてお前は元魔王? 元魔王が天使?」


小笠原久光は絶句した後、背後にいる式神に問いかける。


「岡田、今日はエイプリルフールじゃないよな?」


「久光様、今日はエイプリルフールではありません。今は11月です」


小笠原久光は岡田の答えに「はっ」と言い、笑った。


「そうだよな。まったく。今日のことは、一生忘れることができなさそうだ」


「小笠原久光、もう一つ驚いてもらおう。ここにいるMisfitミスフィトだが」


俺の言葉に小笠原久光の顔がひきつる。


「まさか、Misfitミスフィトまで大天使だと……」


「そうだ。そのまさかだ。こいつはウリエルだ」


小笠原久光は両手を挙げた。


「分かった。もういい。大天使のラファエルとウリエル、元魔王のマティアス、天使のソフィア、アクラシエルが、ぼく一人のためにこんな大芝居を打った。たった一人の悪魔のために。しかも仲間の元に戻したいと。分かったよ。エミリアはお前たちの元へ帰そう。ずっと観察させてもらったがマティアス、お前は嘘をついていないからな」


さすがだ。


全員の名前と顔も会話の中から一致させ覚えているし、俺が嘘をつているかどうかも、あれだけ驚きながらも観察していたとは。


「ありがとう。そうしてもらえると助かるよ」


俺と小笠原久光は、お互いを見てニヤッと笑う。


「エミリア」


小笠原久光が名前を呼ぶと……。


赤毛の釣り目で、ぷっくりした唇。

真紅の体にフィットしたドレス。

誇張するように盛り上がった胸元に、くびれたウエスト。


式神になっても色気満点のエミリアが姿を現した。


「エミリアさん!」「エミリア」


呼びかけるソフィアと俺を見てエミリアは困惑する。


「よー、エミリア」


エウリールを見て、エミリアはようやく安心した顔になった。


だが縛りがあるのだろう。

口を開きかけたが、すぐに閉じた。


「エミリア、縛りを解除する。だがまだぼくの式神であることに変わりはない。逃げたりはするなよ」


エミリアは驚いて小笠原久光を見たが、すぐに頷く。


小笠原久光が何かを呟きながら、手を素早く動かした。


なんだ? 星を宙に描いた?


「エウリール、一体これはどういうこと⁉」


エミリアが困惑しながら、エウリールに尋ねる。


「まー、話すと長くなる。が、お前のことを助けに来たんだよ」


「助ける?」


「そう。ロルフやベラ、店の女の子に頼まれてな。みんなお前に会いたがっているんだよ」


その言葉に、エミリアの瞳が潤む。


「……みんな、元気にやっているの?」


「ああ。おれは修行の身だから店には行けないが、お前さんがいつでも戻って来られるように、ちゃんと店も営業を続けている」


「そう……。それはみんなに迷惑をかけちゃったわね」


エミリアの瞳から涙がこぼれた。

それを見た小笠原久光は静かに告げる。


「エミリア、お前を俺の式神から解放する」

「マティアス、悪魔を助けるとは、天使失格だ」


ガブリエルの声がしたと思った瞬間、ラファエルが俺を突き飛ばした。


「エミリア、伏せろ」


エウリールが叫ぶ。


「ラファエル様!」「マティアス様」


アクラシエルとソフィアが同時に叫んだ。


すべては一瞬の出来事だった。


「な、一体どういうことだ⁉」


小笠原久光が、初めて動揺する姿を見せた。

昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!


次回更新タイトルは「このぼくが動けなかった」です。


明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。

明日もまた2話公開です。お楽しみに~

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