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完結●千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode2】天界大騒乱

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ついに発見

定刻通り、チャリティーコンサートはスタートした。


野外会場は、その周囲をぐるりと取り囲むように、ショッピングモールの通路が6階まで続いている。そしてその通路に沿ってお店が展開されていた。さらにその通路には野外会場が見下ろせるように、ベンチが等間隔に設置されており、そこはすべて埋まり、立ち見客も沢山いた。


特設ステージにラファエルとエウリール、つまりphantomとMisfitミスフィトが登場すると、大歓声が沸き起こる。


その結果、一曲目の楽曲から信じられないぐらいの盛り上がりを見せた。


phantomの曲はアニメ、映画、ドラマ、CMなど多くに使われていたので、知名度は抜群だ。その歌声にMisfitミスフィトの声が加わると、さらに美しいハーモニーを生み出し、観客を魅了する。


と同時に募金箱の前には常に長蛇の列が続き、チャリティー活動としても大成功を収めた。


途中、トークなどを挟み、1時間が過ぎたところで、例のオークションが始まった。


架純にコスプレしたソフィアは、サイン入りの色紙を手にステージに上がる。


その瞬間、phantomとMisfitミスフィトが登場したのと変わらないぐらいの歓声が起きた。


ソフィアは芸能活動をしていたとはいえ、こんなに観客が集まるステージに登壇するのは、初めてのことだった。だからこの大歓声には思わず驚いてしまったのだが、その表情がなんとも言えず愛らしかったようで、「かすみちゃーん」という声援まで起きている。


そんな大熱狂の中、オークションはスタートした。


最初は5千円からスタートしたが、金額はどんどん上がっていき、10万円まであっという間に到達した。その後は一万刻みで上昇し、気づくと30万円、50万円まで跳ね上がる。60万円になると、オークションに参加している人数が、目視で数えられるぐらいになった。


その時。


白のパーカーのフードを目深に被った少年が、ピンと手を伸ばした。スタッフがマイクを渡すと……。


「80万円」


その値段に会場からどよめきが起こる。


いきなり20万円アップしたことで、残る参加者は明らかに動揺していた。


俺は隣にいたアクラシエルを見る。


「あんな子供が80万円も払えるのか⁉」


アクラシエルはゆったりと首を傾げた。


「いまいちその貨幣の価値が分かりませんが、子供が払えなくても親が払うのではないでしょうか」


……なるほど。至極真っ当な答えだ。


だが。


あんな子供に落札されては……。


残りのオークション参加者の顔を見る。

この中に小笠原久光は残っているのだろうか。


聞いたところによると、小笠原久光は陰陽師としての力を政府機関にも貸しているようで、相当お金も持っているはずだという。


それならば、80万をちょっとでも超える金額を提示してみろ……。


心の中で祈る。


だが。


「80万を超える金額を提示する人はいないかな?」


ラファエルの声が会場に響いた。

挙手する者はいない。


「ではカウントダウンにはいる」


エウリールが告げる。


「五・四」


そこですうっと手が挙がった。

整った顔立ちの青年で、身なりもきちんとしている。


「85万円で」


85万……。

いきなり20万も上乗せしてきた少年に勝てるのか?

というか、あの青年が小笠原久光?


小笠原久光、という目線で青年を見てみると、確かに眼光は鋭く、キリッとした表情は、闇に打ち勝つ力を秘めているように思えた。


「90万円」


白パーカーの少年が合わせるかのように、5万円で刻んできた。


青年は静かに答える。


「95万円」


会場はもはや百万円の大台に乗るかと、ざわめきが起きていた。


「100万円」


白パーカーの少年が当然のように告げる。


どよめきが起きた。

あの色紙に100万……。

すごい事態に思える。

小笠原久光。負けるな、105万と言え!


俺は青年を見た。


だが……。


青年は無念そうに目を閉じる。


ここでエウリールが再びカウントダウンに入った。

もはや声を挙げる者はなく、あの白パーカーの少年が落札してしまった。


しかし、あの青年が小笠原久光の可能性が高い。

何か適当な理由をつけ、話しかけに行けばいい。


そう考えている間にも、白パーカーの少年はステージに招かれ、ラファエルとエウリールと会話をしている。


もはや少年はどうでも良かったが、今すぐ青年の元に向かうことはできない。


仕方なくステージを注視した。

昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!


次回更新タイトルは「絶句。まさか……」です。


今日は大晦日。1年が経つのは早いですね。

投稿を通じ、読者の皆様と知り合えたこと

とても喜ばしく感じます。

また来年も続きを楽しんでください。

良いお年を!

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