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完結●千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode2】天界大騒乱

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ファンにとっては垂涎(すいぜん)もの

田中さんとの通話でしんみりとしてしまったが、この後は大仕事が待っていた。


チャリティーコンサートは、17時に会場へ人を入れることになっている。


諸々の準備で昼前には、現地入りする必要があった。


「マティアス様、着替えましょう」


ソフィアがコスプレするのは、現地についてからだ。まずは俺も含め、全員地上の服へ着替える必要がある。服は、昨日自分達で調達したものがあるので、それに着替えた。


ソフィアは白いブラウスに、ガーネット色のフレアロングスカートを合わせている。


ブラウスにはブローチがついたリボン、上着代わりに着ているロングカーディガンはチャコールグレーで、大人っぽい雰囲気だ。


美しい金色の髪を後ろでお団子上にまとめると、凛とした雰囲気に仕上がった。


この姿からあの学生服にチェンジするのか……。

それを想像すると、なんだかゾクゾクしてしまう。


「マティアス様のその服装、これまで見たことがなくて……素敵ですね」


それはアクラシエルによるコーディネートだった。


濃紺生地に小粒の白い水玉がプリントされたシャツに、デニムのスリムパンツ。ジャケットはカフェオレ色だ。


正直、自分で選んだら全身黒のコーディネートだったから、アクラシエルの目利きに従ってよかったと感じる。何よりソフィアが喜ぶのが嬉しいと思えた。


「マティアスさん、ソフィアさん、行きましょう」


俺たちを迎えにきたアクラシエルは、白のシャツの上に、厚手のメイズ色のニットを羽織り、ベージュのワイドパンツをはいている。綺麗なストロベリーブロンドは、おろしたままだ。服装と髪型から、やはり女性のように見える。


三人揃ってエントランスホールに向かい、レセプションで呼んでもらったタクシーに乗り込んだ。



チャリティーコンサートが始まるまでの数時間は、あっという間に過ぎていった。


徹夜組が出たため、朝から整理券を配布している。だから会場に混乱は見られない。


ショッピングモールの、野外会場を見ることができるスペースに、ちらほらと観客が集まってきていた。でもそこも警備員が誘導しているので、人が殺到し、混雑するといったこともない。


通常は、会場とは別の場所でリハを済ませることが多いという。だが開始時刻前になると、もう観覧可能なスペースも満席、整理券を配布した席も埋まっている。そこでラファエルとエウリールは、一曲だけ、リハーサルとして皆の前で歌った。


俺はエウリールが歌うのを、初めて聞いたのだが……。


高音を得意とするラファエルに対し、エウリールは低音を得意とし、二人の声が合わさって奏でられるメロディーは、心を震わすものだった。


しかも歌詞が紡ぐ言葉の美しさは……二人が大天使だと実感できるものだ。


たった一曲歌い終えただけで、会場の観客は感動の涙をこぼしている。そしてこのリハの一曲だけで、募金箱の前には長蛇の列が出来上がった。


そのリハを見終えて、ソフィアの控え室に行くと……。


うっかりその歌声に涙しそうになったソフィアが、メイクさんに必死に我慢するようにと深呼吸をさせられていた。


昨日はウィッグをつけ、衣装を着ただけだったが、今はしっかりメイクもしている。


そうなると、普段以上に肌艶はよくなり、顔の各パーツはそのキャラクターに近づいていた。


「マティアスさん、すごいですね。アニメ『お隣さんは魔法使い』の架純というキャラクターにそっくりですよ、ソフィアさん」


アクラシエルは、ソフィアの変貌ぶりに驚嘆している。


それはそうだろうと俺は思っていた。


アニメの公式サイトを確認したところ、架純というキャラクターの身長と体重は、限りなくソフィアに近いものだ。


……体重については、いつも抱き上げている俺の所感だが。


この身長と体重で、あのバストとウエスト、ヒップを現実で実現できている人間は……稀だと思う。それぐらいの抜群のスタイルを、具現化したのがソフィアだった。


小笠原久光という陰陽師が、架純というキャラクターを本当に好きならば……。


このソフィアの姿を見れば、絶対にサイン入りグッズを競り落とすに違いない、と確信できた。それに用意されたサイン入りグッズは、当該アニメの監督が、直筆で色紙に描いた架純のイラストに、監督のサインと架純役の声優のサインが入っている。


この色紙をどれぐらいファンが欲しいのか、俺には未知だった。


だが、スタッフの立ち話を聞いたところ……。


「これを用意したphantomさんが凄すぎます。それに監督と声優さん二人のサインがあって、しかも直筆……。一番人気の架純ちゃんですよ。オレだったら今の全貯金30万を出しても手に入れたいっすね……」


この言葉を聞く限り、ファンにとって、垂涎すいぜんものであることは間違いなかった。


オークションに参加できるのは、会場で着席できる300名だ。


小笠原久光がその300名の中にいると信じ、俺たちはチャリティーコンサートの開始を待った。

昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!


次回更新タイトルは「ついに発見」です。


明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。

それでは明日も勉強、お仕事、頑張りましょう‼

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