バレている。
「それでなんの用だ、ラファエル」
ラファエルは突然話を遮られたことが理解できないようだったが、俺の質問にはきちんと答える。
「私のところに、田中さんから連絡が来たよ。マティアス達が所属していた事務所の副社長だろう?」
「副社長⁉ 部長ではなく?」
「あ、ああ、二人が天界にいる間に出世したんだよ」
「……なるほど。それで?」
「昨晩投稿した、ソフィアちゃんの画像、あれ、分かっているようだよ」
「……!」
「それってつまり、あのコスプレをしているのが、私だと気づいているということですか?」
ソフィアが尋ねるとラファエルは「そうだよ」と答える。
やはり俺たちを見出した田中さんだけある。
ちゃんとあれがソフィアだと、見抜いていた。
「それで田中さんには、どう答えたんだ?」
俺の問いにラファエルは……。
「コスプレを担当する女性は、スタッフに任せきりで、私は詳しくは知らない、と答えておいた。でも田中さんは引き下がらなかった。その女性が誰であるか、調べて教えてほしいと。名前だけでもいいから知りたいと」
俺とソフィアは、顔を見合わせる。
田中さんの温度感が分からなかった。
「あの、田中さんは怒っている感じでしたか?」
「いや、そんな感じではなかったよ、ソフィアちゃん。突然連絡が取れなくなった知人に似ていて、もし本人なら話をしたい、そう言っていた。事故にでも巻き込まれ、亡くなったと思っていた。生きているなら、それを確認できれば、それだけで十分だ、とも言っていた」
この言葉には胸が痛んだ。
ソフィアと俺を見出だし、大切に育ててくれようとした田中さんには、感謝の気持ちしかない。田中さんのおかげで、住まいと仕事を手に入れることができたのだから……。
「……マティアス様、田中さんと話してみますか?」
「そうだな。にわかには信じてもらえないかもしれないが」
ソフィアと俺は、ラファエルにこのスマホの番号を田中さんに伝えるよう、お願いした。コスプレを担当する女性の詳しい情報は分からないが、連絡先は分かった、ということにして。
ラファエルとの会話を終え、ソフィアと俺は話し合った。田中さんに自分達のことをどう説明するかについて。全部を全部話したら、時間が足りないと思った。話すなら、実は俺たちはそもそも天使だった……というのが妥当か、とかそんなことを言っていると……。
スマホが鳴る。
田中さんからだった。
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