ミニスカ&ツインテールのソフィア
黒髪のツインテール。
碧いラインの入ったセーラー服と碧い色のプリーツスカート。丈は短い。
足元は黒のロングソックスに黒革のローファー。
一目見た感想は……可愛らしい、だ。
これは学生が着る制服というもので、ソフィアの年齢で着るものではなかったが、とても似合っていた。
「このアニメのキャラクターは黒髪だけど、瞳の色が碧いんだよな。ソフィアは元々碧眼だから、ドンピシャで似ているんじゃないか」
エウリールが言う通りだ。
俺たちは今、アニメのキャラクターの衣装を販売する、いわゆるコスプレ専門店に足を運んでいる。
日本の最強エクソシストの陰陽師、その名は小笠原久光という男は、このアニメのキャラクターが相当好きらしい。それはたまたま奴について調べる中で浮き彫りになった情報だ。
どれぐらいのレベルで好きなのか、改めて確認した。
するとさりげなく身に着けていた、そのキャラクターの限定販売のコラボ腕時計は、数十万円するものだった。ネットでは海外も含め、百万単位で取引されることもあるという。
つまり、ものすごくこのキャラクターが好きというわけだ。
それを踏まえてエウリールが思いついたのは、こんな作戦だった。
ラファエルとエウリールは明日、チャリティーコンサートを行う。それは巨大ショッピングモールの野外のイベント広場で、基本的に誰でも足を運ぶことができる。
そこにこのキャラクターに扮したソフィアが登場することを、SNSで告知する。
ここまでの完成度の高さなら、絶対に奴は食らいつく。多忙な身であっても、見に来るに違いない、とエウリールは考えていた。
しかもそのチャリティーコンサートでは、そのキャラクターのサイン入りグッズを用意し、オークション形式でその場で落札させるというのだ。落札者はサイン入りグッズをコスプレしたソフィアから受け取り、そしてソフィアとの写真撮影や握手もできる。
「そもそもそんなサイン入りグッズを、急に用意できるのか?」
驚いて尋ねると、エウリールは「問題ない」と答える。
「ラファエルは……phantomは業界でも影響力が大きい。用意できないはずがない」
実際、エウリールがこの作戦についてラファエルに話すと、コスプレしたソフィアが登場することも快諾したし、サイン入りグッズも手配すると約束した。それどころか、各種版元やアニメの制作会社などにも、許可取りをしておくと請け負ってくれた。
その結果、俺たちはソフィアをコスプレさせ、その姿を撮影し、SNSで告知することになったのだ。
「じゃあ、ソフィア、写真を撮るから、そのままスタジオに移動してもらっていいか?」
エウリールの言葉に、ソフィアは素直に頷く。
そのお店は隣にスタジオが併設され、コスプレしたらそのまま移動し、写真撮影が可能だ。そしてそのスタジオには、phantomのアルバムのジャケ写を担当した、とんでもなく有名という若手の女性写真家が待機している。
その写真家を動かしたのも……phantom、つまりラファエルだ。
スタジオについたソフィアは、普段であれば絶対にやらないであろうポーズを、写真家の指示に従い、きちんととっている。
最初この作戦をエウリールが口にした時、ソフィアはこう言った。
「サイン入りグッズがあれば、会場にその小笠原久光という陰陽師は来ると思うのですが……。別にコスプレしたキャラクターは、必要ありませんよね⁉」
だがエウリールはこう反論した。
「サイン入りグッズのオークションだけだったら、多忙の小笠原久光は式神を派遣するだけだ。そこにキャラクターまんまと思われるコスプレしたソフィアが登場するとなったら、しかも落札したらそのキャラクターと握手して写真を撮れるとなったら、小笠原久光は絶対に、現地へ自らが足を運ぶはずだ。だからソフィアの協力は欠かせない。マティアスもそう思うだろう?」
俺に振るか⁉と思ったが、エウリールが言うことは説得力がある。
「ソフィア、俺たちは地上で芸能活動をしていた。ハロウィンのコスプレ衣装の撮影では、もっと際どい衣装もソフィアは着こなし、実際あの衣装は飛ぶように売れた。今回もあの時と同じと思い、何よりエミリアを助けるために、協力してあげないか?」
エミリアを助けたい。
それはソフィアも同じ気持ちだ。
「分かりました」と答えた後のソフィアは、一切照れることなく、ミニスカートを履き、学生服を着こなし、そして今、ポーズをとって写真撮影に応じていた。
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本日は2話公開です。引き続きお楽しみください~。




