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完結●千年片想い~ピュアな魔王の純愛記~  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【Episode2】天界大騒乱

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キスであんなに舞い上がっていたのに

ガブリエルのことを話すと、エウリールは頭を抱えた。


ガブリエル(アイツ)……。おれがなんのために地上へ堕ちたと思っているんだ⁉ しかもなんなんだ、その邪魔の仕方は。マティアスに悪魔狩りをさせるって……悪夢だろう。それに神聖な清めの儀式まで悪用しやがって。なんでガブリエルが放置で、俺が縛りを受けている⁉」


エウリールが物憂げな顔で俺を見る。


「……同情するし、尊敬するよ、マティアス。お前、ホント、よく我慢できているな」


「仕方ないだろう。無茶をすれば記憶を奪われ、人間として地上に堕とされるんだ。ソフィアと離れ離れになるぐらいなら、我慢するしかない」


「けど、マティアス、お前は千年以上その時を待ったんだろう? キスできるだけであんなに舞い上がっていたのに……」


思わず俺は赤くなり、エウリールに「余計なことを言うな」と憤慨していた。


すると……。


「ガブリエルが意地悪をするのは、エウリールとラファエルが地上へ堕とされ、その原因が私とマティアス様にあると思っているからです。実際、そうですしね……。ラファエルの場合は愛する二人を引き裂こうとしたので、自業自得と思うのですが、ガブリエルはそう思っていません。私とマティアス様があの神殿で婚儀を挙げるためには……一日も早くエウリールとラファエルが天界に戻ってきてくれるしかないかと」


「なるほど。ソフィアの言う通りだろうな。それに神殿の管理は元々おれがしていたんだ。天界に戻ったらおれの権限を行使して、ガブリエル(アイツ)に邪魔はさせないよ」


その言葉にソフィアと俺は顔を見合わせる。

そしてソフィアが口を開いた。


「あ、あの、神殿の管理は、エウリールがしていたのですか⁉」


「管理というか、神殿を作ることを提案したのがおれなんだよ」


「……!」


ソフィアも俺も目を丸くした。


「天使は繁殖しなくとも魂が巡回しているから、婚姻という制度がそもそもいらなかった。それに天使になった魂は、愛欲や肉欲から解放されているから、好きや嫌いの感情とは基本無縁だった。でもゼロじゃない。特定の相手に強い感情を持つ天使も現れた。


でもしゅは天界に恋愛や婚姻を持ち込むことを良しとせず、もし結ばれたいなら地上でしろと、記憶を残したまま天使の力を奪い、堕とすという方法をとっていた。おれはそのやり方が気に入らなくて、あの神殿を作らせた」


まさかあの神殿のシステムを作り上げたのがエウリールだとは思わず、ソフィアも俺も、驚くしかなかった。


「天界と魔界の戦いは必ず集結する。そうなると魂の巡回が遅くなる。天使の数は一定数を保ち停滞することになる。そこに新たな血もなく、同じ奴らばかりで同じような日々を過ごしていたら……ひずみが起こると感じていた。停滞は衰退、前進は進歩だとしゅを説得した。……まあ、あの頃のおれは、まだ大天使としてしゅに信頼されていたからな。思いの外あっさり、神殿を作ることを認めてくれた」


「そうだったのか。なら、なおさらだ。エウリール、一日も早く天界へ戻ってくれ」


エウリールは神妙な顔で頷く。


「そうだな。マティアスをこれ以上お預け状態にしたら、狂いそうだからな」


「おい、エウリール、言い方!」


「いや、失礼。でも実際、辛いだろう?」


……それは辛い。

が、ソフィアもここにいるんだ、エウリール、それ以上余計なことを……


「あ、あのエウリール、そんなに辛いことなのですか?」


ソフィアが真剣な顔で、エウリールに尋ねていた。

俺は頭を抱える。

ソフィアは……真面目だ。

エウリールが神妙な顔で言うから、本気で俺のことを心配している……。


「そうだな。でもソフィア、これは男にしか分からないことだと思う。もう男のさがだから」


「エウリール、この件はもういい。お前とラファエルが戻ってこない限り状況は好転しない。せいぜい俺とソフィアのために、善行活動に勤しんでくれ。それに本題は別にあるからな」


エウリールもソフィアも話すのを止め、俺を見た。

昨日に続き来訪いただけた方、ありがとうございます!

この投稿を新たに見つけていただけた方も、ありがとうございます!


次回更新タイトルは「ついやらかしてしまった」です。


明日もまた読みに来ていただけると大変嬉しく思います。

それでは明日も勉強、お仕事、頑張りましょう‼

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