エミリアはお休み?
「え、どうしました、ロルフ、ベラ?」
「ソフィア、エミリアなんだが、今、店にはいないんだ」
ソフィアは首を傾げる。
「ロルフ、それはお休みされている、ということですか?」
ロルフとベラが同時に首を振った。
「ハロウィンの日に、日本のエクソシストに捕まってしまったんだ」
「ロルフ、何を言っているんだ? ハロウィンの時は、ソフィアも俺もまだ地上にいた。11月に入ってからも、エミリアとスマホで何度かメッセージ交換もしていた」
「それは去年の話だろう、マティアス。エミリアが捕まったのは今年のハロウィンだ」
何を言っているのか理解できなかった。
ソフィアと俺が天界にいったのは、数週間前のことなのに……。
「アクラシエルさん、もしかして地上と天界では時の流れが違うのですか?」
アクラシエルはソフィアに聞かれると「はい」と頷く。
「天界と魔界は同じ時の流れ方ですが、地上とは異なります。違うといっても一年程度ですが」
なるほど。
「その日本のエクソシストに捕えられて、エミリアはどうしているんだ、ロルフ?」
「それがそのエクソシストに使役されている」
「使役? どういうことだ?」
「なんでも日本のエクソシストは土着の妖という魔物を捕らえると、式神という、使い魔のような状態にして使役するらしいんだ」
「奴隷にするのか?」
俺は奴隷制が嫌いだ。
「いや、待遇はそこまで悪くないはずだ。何かするよう命じられていない時は、自由にできるらしいし。ただ、悪魔に近づくことは許されない。なんでも縛りがかけられているらしく、それに反すると大変なことになると。オレもエウリールから聞いただけだから、これぐらいの知識しかないんだけど……」
ロルフが困り顔で俺を見る。
「……なるほど。エウリールなら詳細が分かると言うことか。午後、エウリールと会うことになっているから、そこで詳しく聞くようにする」
「マティアス、エミリアのこと、助け出せるかい?」
ベラが俺を見た。
「エミリアには世話になった。なんとかしたいと思っている。でもそれはまずエウリールから話を聞いてからだ」
「そうだね。あ、連絡先、交換しようよ、マティアス」
「というかベラ、店開けて、中にみんなのことを入れようぜ」
ロルフの言葉にベラは「ああ、そうだね」と言い、店の鍵を開ける。
こうして俺たちは店の中に入り、連絡先を交換し、ロルフとベラは店の掃除を始めた。
そうしているうちに掃除当番の店の女悪魔が出勤してきて、ソフィアと俺を見て驚き、そして会いに来たことを喜んでくれた。
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次回更新タイトルは「キスはお預け」です。
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それでは明日も学校、お仕事、頑張りましょう‼




